音から何か感じてもらえたら、AA=上田剛士 異質さ追求した10年
INTERVIEW

音から何か感じてもらえたら、AA=上田剛士 異質さ追求した10年


記者:榑林史章

撮影:

掲載:18年05月03日

読了時間:約11分

動物愛護主義者と勘違いされる

上田剛士(撮影=榑林史章)

──バンド名のAA=は、ジョージ・オーウェルの小説『動物農場』から取って付けたとのことですが

 その小説に、曲にもなっている「ALL ANIMALS ARE EQUAL」という言葉が出てくるんですけど、それにインスパイアされて、略してAA=と付けました。

──古い小説ですけど、どうしてその言葉を?

 ジョージ・オーウェルは、『1984年』という作品を高校生のときに読んで、すごく好きな作品だったんです。その流れで『動物農場』という作品も読んでいたんですけど、このバンド活動を始めるくらいのタイミングで改めて読み返したら、心に響くものがありました。

──メッセージ性の強い作品ですよね。

 そうですね。作品もそうですし、ジョージ・オーウェルという人自体が、すごくそういうものを持っている人で。ただメッセージと言っても、社会的なものと言うよりは、人間の本質に繋がるメッセージ性が強くて。それをより身近で人間的なものとして捉えて、使っている感じです。だから普遍的で広い意味の名前として、まとっているような感覚です。

──そういう名前のバンド名って、誤解される危うさもありますよね。

 ありますね。けっこう動物愛護主義者と勘違いされることが多いです(笑)ベジタリアンだと思われたりして、食事に行ったときに「肉は大丈夫ですか?」って聞かれたり。まあでもこの名前ですから、そう思われるのもわかるんですけどね。

──そういうのは海外での話ですか?

 日本のほうが多いです。海外だとジョージ・オーウェルの名前は有名で、作品をしっかり読んでいる方も多いので、むしろそういう名前の偏見はないですね。

──歌詞におけるメッセージは?

 自分のなかにあるメッセージを込めています。ただ、何か一つに特化して訴えているわけではなくて。何か一つのことが発端になっている場合はあるけど、それをそのままメッセージとして伝えるのではなくて、そこから広げてエンターテインメントとして聴いてもらえるものにしようという気持ちです。

──まずは単純に曲として楽しんでもらって、歌詞カードを読んだら「実はこんなことを歌っていた!」みたいな。

 基本的には、そういう楽しみ方をしてもらえたらうれしいです。歌詞で共感して感動して泣くみたいなタイプの音楽ではないので。それよりは、音から何かを感じてもらえたほうがうれしいです。歌詞の受け取り方はそれぞれでいいと思っています。その人が生きている環境によって、歌詞から生まれるドラマも変わると思うし。

──ライブには、どんな世代のお客さんが多いですか?

 基本的には30代で、もともと自分をフォローしてくれていた世代が多いです。たまに20代もいるという感じ。

──10代とか、昔の上田さんを知らない若い世代にも、どんどんきてほしいですよね。

 うん、まあ。よくそう言われるし、スタッフもそう思っているだろうけど、自分ではあまり考えていないです。考えてどうなるものでもないし。自分が10代だったときを考えると、もっとわかりやすい音楽を聴いていたし。そこに引っかかろうと思わないし、思っても作れないと思うので(笑)。

──引っかかってくれる子は、勝手に引っかかってくれる。

 そういうスタンスです。それは10年前から変わらないです。

──そのためには、いろんなところで聴いてもらえないといけない。

 そうなるのが理想ですけど、いろんなところで流れる音楽を作ろうとも思ってないので、偶然そうなったら最高だなと思うくらいです。今までやり続けてきたことを、これからも変わらずやり続けるだけです。

──ツアー「OIO」もありますが。

 ツアーのタイトルは、10年なので、010を「OIO」と表記しました。AA=というバンド名もそうですけど、記号的なモチーフを使うのが好きなんです。

 今回のツアーでは、ドラムで金子ノブアキくんが参加してくれています。過去、何作かで参加もしてくれているんですけど、アッくんの参加は2年ぶりくらいなので、僕自身も楽しみにしています。ぜひたくさんの方に観てもらえたらうれしいですね。

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