F.D.Q.の信念、クラシックからロック 4つの美声でどう届けたか
INTERVIEW

F.D.Q.の信念、クラシックからロック 4つの美声でどう届けたか


記者:長澤智典

撮影:

掲載:18年04月03日

読了時間:約8分

平昌で羽生結弦選手が使用した曲も

――今作には、「ラヴ・オブ・マイ・ライフ(クイーン)」「ヒール・ザ・ワールド(マイケル・ジャクソン)」「モーメント・オブ・グローリー(スコーピオンズ)」と、ポップスやロックナンバーも収録しています。どの楽曲も豊かで温かみを持った形に仕上がっていて、聴いていて涙が込み上げてきた程でした。あの絶妙なアレンジには敬服するばかりです。

コ・フンジョン 3曲とも全世界的に愛されてる名曲たちです。ポップスやロックナンバーを、いかにF.D.Q.らしい色へ染め上げていくかについても、僕らはイ・ジスさんと一緒にいろいろと考えました。

 たとえば、クイーンの「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」であれば、演奏する楽器を、ピアノ、ギター、チェロの最小限におさえ、僕たち4人の歌声を細部までしっかり響かせ、歌声自体をより際立たせるアレンジを考えました。対して「ヒール・ザ・ワールド」と「モーメント・オブ・グローリー」は、フルオーケストラを用いてレコーディングをおこないました。

TJソン レコーディングする上で何よりも大切にしたのが、歌詞に込めた想いをどれだけしっかり感情を乗せ、歌声に反映させるかでした。その歌詞にどんな想いを込めているのか、僕らはどんな風に歌声を通してその感情に色を与えていくのか。そこが、何よりも大切なことでした。

 それこそ「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」に綴られた歌詞を伝える中で、あまりにもハーモニーを多用しすぎるとオーバーな表現になってしまうので、この曲ではアレンジをシンプルにして、各メンバーのソロラインを軸に据え、その裏にハーモニーが寄り添える形にしています。

イ・ビョリ 歌を届ける以上、その歌詞が持つ意味や、想いをどれくらいしっかり聞く人の胸に響かせていけるか。その感情を伝えるため、ときにはテクニック的な面を抑え表現していくこともありましたからね。

キム・ヒョンス そうだね。逆に「ヒール・ザ・ワールド」や「モーメント・オブ・グローリー」では、みんなで合唱することを重要視しました。

――改めてアルバムが完成し、それぞれどんな気持ちでしょうか。

イ・ビョリ アルバムにおける一番の特徴が、もともと歌のなかったクラシックの名曲に歌詞を乗せて表現したことです。そこに僕たちらしい独自性を出せて、そこを魅力として活かしきれたアルバムになりました。

TJソン 1stアルバムでは、あえて多様性を持たせ、僕らのいろんな可能性を広げながら表現しました。今回のアルバムでは、僕たちが向かっていこうとしている方向性の一つを明確に指し示せたと思います。

イ・ビョリ そこは大きなことですね。僕らが音楽的に挑戦したい想いや姿勢を、より具体的な形へ落とし込んだのが、今回のアルバムだからね。

キム・ヒョンス 今回、プラハでオーケストラとレコーディングで共演したとき、僕らはオーケストラを前に歌入れもしています。つまり、演奏の表情が変われば、そこに合わせ僕らの歌声にも変化を施しました。1曲の中で表情を変化させていくアンサンブルの妙味にもぜひ耳を傾けてください。

コ・フンジョン この4人の歌声のアンサンブルは、ぜひ楽しんで欲しいところです。

キム・ヒョンス 平昌オリンピックの中で、フィギュアスケートの試合のときに、羽生結弦選手が「ノッテ・ステラータ(星降る夜)」をバックに演技を披露していました。その曲も収録しているので、ぜひ聴いてください。

(おわり)

公演情報

フォルテ・ディ・クアトロ「運命のハーモニー ~プレミアム・コンサート~」
日時:2018年4月13日18時30分開場、19時00分開演
会場:Bunkamura オーチャードホール

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