「#声だけ天使」で学んだこと
――『#声だけ天使』に出演されていて、神谷明さんも劇中で「声にも表情がある」と言っていましたが、「声」で感じることはありましたか?
やっぱり声の力は凄いなと思いますね。声を掛けてもらうだけで、救われたり、ホッとしたり、悲しくなったり、その力はあるなと感じます。私も家族の声を聞いたら安心しますし。
――同じ言葉でも声のトーンや顔の表情によってニュアンスは変わってきます。このドラマだからこそ学んだことはありますか?
たくさんあります。自分のキャパシティを知られたということと、自分のお芝居の幅も少し広がったなと思います。学びが多い現場だったんですけど、その2つが大きかったですね。キャパシティに関しては、自分が求められていることができるときは余裕があるんですけど、求められていることができないと思った瞬間があったので、それは自分のなかで苦しかったです。
――求められてもできない瞬間があったんですね。
一度ありました。泣きの芝居だったんですけど、結構泣くシーンがあって、何回か泣くんですよ。泣くことに関しては3回ぐらいまでは泣けるんですよ。だけど、その時ばかりは全然泣けなくて、スタッフさんも外で待っているし、30、40分ぐらい待たせてしまって、その間、監督はそばにいてくれて、話を聞いて下さったので、苦しかったですね。
――結果的に自分で解決はできた?
悔し泣きで終わりました。悔しくて泣きました。お芝居とは違ったところですけどね。
――ただ泣くにしてもいろんな表情がありますからね。
そうですね。(視聴者に)それがどう伝わっているか、ですね。気になります。
――仁村さんが演じているさくらはお嬢様の設定です。声のトーンもあえて低くしているように感じますが。
そうです。あえてですね。監督に「普通の女の子に見られたいけど、(心に)闇を持っていてほしい。でも闇を持ち過ぎると悲劇のヒロインになるから、それはダメだ」と言われて、その絶妙なところをいくにはどうすれば良いのかと考えたら、セリフの時に変なところで間を空けたりとか、しゃべっているときに違うところを見たりとか、しゃべり方も含めてそういう細かいところは意識していました。
――ご自身にも闇が?(笑)
私に闇はないです(笑)本当、私、裏表がないですよ(笑)ずっとこんな感じなんですよね。
――取材となる構える?
構えますよー! 演じたこととかを聞かれるとなんか、緊張しちゃいますね。取材では標準語になるんですけど、慣れてきた関西弁になっちゃうんで(笑)。
今もソウルバーに出かける
――ダンスはいつ頃始めたのでしょうか。
中学1年生の時です。部活にも入らずにダンススタジオに行っていました。父がずっとダンスをしていてその影響で始めました。ポッピンというダンスなんですけど、昔のブラックミュージックに合わせて踊るダンスなんです。簡単に言うとロボットダンス、アニメーションのような感じです。
私が好きなのは、ジョージ・クリントン、シャラマー、バーケイズ、Pファンクとか。ソウルとかファンク、ディスコミュージックが好きです。たぶんダンスの影響もあって、父の影響もあって、父がずっと「お腹におる時から聞かせているから」といつも言われるんですけど。ソウルとかファンク、ディスコミュージックが好きです。
――バトルもやっていた?
バトルも昔はやっていました。
――バトルのイメージは火花を散らしてというイメージがあるけど?
ああいう挑発したりとかはないですけど、ダンスはみんなが楽しめていることが一番大事だと思うので。
――ダンスは今必須科目ですよね?
授業でありますね。創作ダンスみたいなものをやっていました。自分達で振付を考えたりしていました。
――体幹とかも良さそうですね。
父が言うことには、ダンスをやっていると体も使うし、振付も頭で考えるから良いって。ダンスをやっているときって無心ではあるんですけど、振付があるときは音楽に沿っていろんな表情をつけたりします。例えば、ここが悲しいとか、ここは楽しいとか、そういうのも顔で表現すので、そういうのはありますね。
――そういうこともお父さんに教わった?
ダンスをする心得とかは知らないですけど、父からも結構教わっていました。
――表情とかも父から?
そういうのは教わってはいないんですけど、私の師匠がいるので。スタジオの先生です。そこではいろんなことを教わりました。例えば、踊っている途中で衣装や髪が乱れたりしても直してはいけないとか。そうしてしまうと空気感が崩れてしまうので。プロじゃないですけど、そういう意識を学びました。
――乱れても直さないのは、直すという行為が一つのダンスの動作になってしまうから?
そうですね。
――その頃から表情を作ることや動作一つひとつ、空気感を大事にするという意識が身についていたということですね。
そうですね。ダンスをやっていて良かったなと思うことはいっぱいあります。身体で表現する事には何ら変わりはないので。
――具体的に役に立っていることはありますか?
普段、例えば、目の前にあるペットボトルの水を取る時って、自分がこういう態勢になっているとかって思わないじゃないですか? 自分がどういう態勢になっているとかって考えたりしませんよね。でも、ダンスをやっていると、動きが、自分が今どういう体の形で、どういう風に見えているかというのが大体わかるんですよ。鏡を見て練習していたので。だから、カメラに映ったときに自分がこうしていたら綺麗な所作に見えたり、ガサツな役だったらこういう感じだったらガサツに見えるなとか。そういう自分の身体のことは分かっているつもりではいたので、やりやすくは感じていますね。ダンスやっていてよかったなとそこで思いますね。
――小さいころからソウルミュージックを聴いていたということですが、今も聴いているんですね?
ソウルミュージックって歴史があるからソウルフルですよね。パワーがありますよね。それに惹かれます。音楽もそうですし、ダンスも。極端に言えば、言葉はいらないじゃないですか。ソウルって特にそうだと思っていて。父とも行くんですけど、良く友達とソウルバーに行くんですよ。その時は全く喋らないですよ。言葉も必要なくて。私お酒がダメで頼んで何時間もかけて飲むんですけど、それを飲みながら喋らずずっと音楽を聴いているみたいな。
――合間の縫ってくれているのは音楽なんですね。
そうです、そうです。この場の空気感とか気にしていないんですけど、「言葉いらないよね、やっぱ」「これ良いよね」とか言いながら。たまに喋るのはそれぐらいで。
――たぶん同じ気持ちになっているのかな?
たぶん同じ気持ちになっていると思いますね、お父さんも踊りたいときに踊りに行って、私も好きな曲が掛かったら踊りに行ってみたいな感じ。