教会で演奏していてデビューのきっかけを掴んだ
――お子さんのお話が出ましたが、バラードナンバーの「Bless U」には<君が生まれてきたから>という歌詞があって、祝福を意味するタイトルになっています。父親から子どもに向けて、人生の厳しさと素晴らしさを歌っているようにも思いました。
そんな風に受け取ってもらえたらうれしいです。でも聴いた人それぞれの感性で感じてもらえたらいいかな。別のインタビューでは、「神様みたいな存在を歌っているんじゃないですか」と言われましたが、それもいいと思います。
ただ、この曲は「僕が好きなユーミン(松任谷由実)さんの「ノーサイド」みたいな曲が作れたらいいですね」と提案させていただいてできた曲です。だから、僕のこどもがもうちょっと大きくなって、挫折を経験するような年齢になったときには、きっとぴったりくる曲になるかもしれませんね。
――オープニング曲「Piano」は、パイプオルガンとピアノの音色が印象的なミディアムナンバーで、歌詞は幼少期に教会で弾いていたピアノを思い出して過去を懐かしんでいる雰囲気ですね。実際に教会でピアノを弾いていた経験が?
実体験です。韓国にいるときは、高校生のときからバンドを組んで、教会で演奏していて、そこでプロデューサーにスカウトされました。だからその教会が、僕の音楽人生のスタート地点であり、呼人さんもそのことは知っているので書いてくれたのだと思います。
当時はバンドで演奏できる場所があまりなかったんですけど、その教会は平日なら自由に音を出していいよと言ってくれて。ポップスを演奏することを嫌がる教会も多い中で、その教会は“十代教会”という、若い子を受け入れるところで、ロックでも何でもどんどんやりなさいと言ってくれました。その代わりに日曜日のミサでは、賛美歌の演奏をして欲しいと。その教会と出会えたことは、僕にとってはとても幸せなことでしたね。
――また「指輪物語」という曲は、ジュエリーブランド「トレセンテ」ウェブCMソングで、配信限定の曲でした。これは、奥様とのこともほうふつとさせますね。
そう言っていただけることは本当に多いのですが…タイアップ曲ですし、先方から「指輪は丸くて同じ方向に回っていて、永遠に回っていくイメージなので、結婚して三十年とか四十年経っても、また指輪を贈れるような曲を作ってほしい」と言っていただいて作りました。
もちろん、自分の経験も頭の隅にはありましたけど、自分の家族のことになるとどうしても照れが出てしまいます(笑)。そういう意味では、呼人さんという客観的な立場で歌詞を書いていただいたことで歌えたと思いますね。