役者を経験して歌も変わった
――最近は役者としての活躍の場も広げていらっしゃいますが、宮田さんの音楽にどんな影響を及ぼしていますか。
去年2回、舞台をやらせていただいたのですが、周りの方にはやはり「歌が変わった」とよく言われます。そのときは自分では全然分からなかったのですが。でも表現の仕方とか、最近は「しゃべるように歌うにはどうしたらいいんだろう」と思ってすごく考えるようになりましたし、詞の世界観や言葉を自分の中に入れ込む時間は確実に増えました。
舞台は他の方が作ったものだから、その人の思いや意味を突き詰めていくわけじゃないですか。「なぜこういうふうに、この言葉を言うのですか?」みたいに。僕はそれがすごく楽しくて。自分で詞を書いたものも、もちろんあるけれども、人が書いたものを自分の思いをのせて自分色に変えていくことに、すごくやりがいを感じました。だから最近は作詞家さんに頼むときは、細かくオーダーするよりもキーポイントだけお伝えして「作詞家さんご自身の世界で書いてください」とお願いするようになりました。
――表現者として自分がどこまでできるか、みたいな挑戦の楽しさがあるのですね。
僕は鈴木雅之さんが大好きで。Martinさんもほぼ自分で書かれないですけれど、何を歌ってもMartinさんになる。それがすごくかっこよくて、去年学ばせていただきました。自分で書いていると思い入れが出てきて、それももちろん良いのですが、人が書いてくださったものに自分の色をのせることも楽しいと分かったので、そこから表現の仕方も変わっているのかもしれないです。
――どんなふうに変わったと思いますか?
意外に第三者目線というか、ファンの目線と一緒の感じで歌っているんだと思います。「この詞の主人公は、最終的にくっつくのかくっつかないのか、どっちなんだろう?」みたいなことを考えながら歌っていて。自分で書くと結末が分かっているじゃないですか。そうすると自分の感情がすごく入ってきてしまうので、曲によってはそれもいいと思うんですけれど。舞台でそういう楽しみも見つけたというか。リアルなことをのせるようなイメージにはなってきました。あとBREATHEのときは2人組なので相手とのバランスをつねに感じながら歌っていましたが、今は自分一人人なので、かなり強く歌うようになりました。
――今後ソロのアーティストとしてやっていきたいことは何ですか?
「甲子園でライブをする」という夢があります。一応、高校2年生のときに1回出場しているんですけれど、そのときは代打で三振だったんです。苦い思い出しかないので、次は楽しい思い出作りたいなと(笑)。
甲子園に行くと、みんな土を持って帰りますよね。僕たちが出場したのは春だったのですが、キャプテンが「夏、もう1 回戻ってくるぞ」って言って、その土を持って帰らなかったんですよ。みんな「え? 」みたいな感じだったんですけれど、キャプテンが言うからしょうがなくて。そして夏を迎えたんですけれど、予選の決勝で負けてしまって。だからライブのオープニングで土を持ち帰る演出をしたい、とずっと言い続けているんです(笑)。
それは冗談として、甲子園でのライブは実現させたい。あと僕はスポーツをやりながら音楽に助けられたので、頑張っている方々の背中を少しでも押せるような曲を届けたいです。僕は切ない曲が多いのですが、悲しみや切なさを乗り越えてこそ、人は強くなっていくと思っているので。そういう曲をどんどん作っていきたい。今回配信される「サンサーラ」もそういうリアルな気持ちを込めていますので、その思いが伝わってもらえたら嬉しいです。
(取材=桂泉晴名/撮影=冨田味我)
※衣装協力=エディフィス
作品情報
デジタルシングル「サンサーラ」 7月2日配信 作詞:山口卓馬 作曲:山口卓馬/酒井陽一 編曲:YANAGIMAN 日曜日の昼下がりに、フジテレビ系で毎週オンエアをしている人気ドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』。7月2日(日)からの番組のエンディングを飾る「サンサーラ」の6代目となる歌唱アーティストは宮田悟志。番組の大ファンであり、「サンサーラ」の歌唱を熱望していた宮田は番組のナレーションを務めた事をきっかけに番組プロデュサーに掛け合い、今回の歌唱につながった。 |