本質をリニューアル、Do As Infinity 変革への第一歩見せた新譜
INTERVIEW

本質をリニューアル、Do As Infinity 変革への第一歩見せた新譜


記者:村上順一

撮影:

掲載:17年06月28日

読了時間:約14分

今までにないアプローチ

通常盤 CD+DVD ジャケ写

――今作の制作にあたって、小説がベースになっているそうですね。

大渡 亮 ディレクターから「こういう台本があって、これに音楽をつけてくれないか?」というアプローチをした方が良いコラボレーションになるのではないか、という提案がありまして。それは澤野さんが劇伴作家ということもあるという理由で、ですね。

 それが「僕には思いつかない発想だな」ということで凄く納得しました。アニメなどの劇伴作家さんを起用することもそうだし、台本ありきという発想もそうだし、僕の今までにないアプローチだった。餅は餅屋というか…。音楽的に違和感を感じたら、無い話だったと思うのですが。

――制作前に澤野さんとお話はされましたか?

大渡 亮 スタッフが最初に会って、澤野さんは「Do As Infinityさんもお考えがあるようなので、まず僕が一度作ってみますよ」ということで、早速「Alive」の原型を作って頂けました。それを聴いてから、僕達は澤野さんとお会いしました。何と的確に自分達の新しいサウンドを作ってくれることができる方なのだと思いました。

――今回は小説のようなものがありきで曲を作ってもらって、歌詞もそれに付随した内容になったのでしょうか?

大渡 亮 「Alive」に関しては、その小説にかなりリンクしています。新しく始動するにあたって手始めに、新しい手法ということで小説ありきという形で進めました。必ずそのストーリーがこの曲の音や歌詞で的確に表現されていく、ということにはせず、ある程度、自由度があるとは思います。

――この統一感はコンセプト・シングルですよね。

大渡 亮 そうですね。それを大袈裟に売り文句とはしていないのですが、新しく始めるにあたっての一つの軸としては確実にそれがあると思います。でも、「コンセプチュアルにこれからもやっていくんだ」ということでもないです。

――今回はこういう形と。

大渡 亮 そうです。復活作として説得力のある作品になったと思います。

――コンセプトがあるような作品は普段聴かれますか? 例えばプログレッシブロックとか。

大渡 亮 プログレをよく聴いていた時期がありました。でも、一つのテーマでコンセプトアルバムみたいなものというのを、自分のグループでやってみたいと思ったことは正直ないですね。

――それに関しては“聴き専”という感じ?

大渡 亮 そうですね。イエス(英バンド)にしてもキング・クリムゾン(英バンド)にしても、一貫したテーマやジャケットのデザインまで全て吸収してはきましたが。でも、自分でやると少し大袈裟だから、そこまでは要らないかなと(笑)。

 言ってみれば、僕もグループの一つのパーツだと思っていて、グループ全体を俯瞰して見たときに、そのフォルムは必要ないのではないかと思いました。

――伴さんはコンセプトが強く打ち出された作品を今までよく聴いてこられましたか?

伴 都美子 映画やアニメのサントラなどは好きですね。映画『ティファニーで朝食を』は好きなのでサントラを買いました。

――映画はよく観られる?

伴 都美子 映画は好きですね。ホラーはあまり興味ないですが、それ以外でしたらまんべんなくというか。澤野さんも映画やアニメ、ゲームなどのサウンドトラックを手がけておられるので、タッグを組んだらそういうものができるのではないか、という期待というか興味が非常にあります。

大渡 亮 僕よりも、伴はそういうアンテナを張っていると思います。僕はもっとアメリカンな方向で意識してきたので。もちろん英国の音楽も大好きなのですが、プログレなどよりは、黒人音楽などの方が好きかもしれないです。

背景はこれからの東京

――今作ではギターに関して新しい試みはありましたか?

大渡 亮 澤野さんは初めてご一緒する方だし、自分というものをまず「こういうギターを弾きます」という、8小節で自分を代弁できるような何かにしたいと強く思いまして。テクニカルな面も含めて「こういうことができます」ということを伝えるということを意識しました。

――8小節だけで「これが大渡 亮だ」という自己紹介のような?

大渡 亮 そうですね。それが、リリースされるときにはお客さんにも「新しい“フォーム”でやっている」ということが伝わればいいなと。まずは澤野さんに対する自己紹介みたいなイメージが少しあったかな。音楽的には短い時間で自分を色濃く出せるようにしないといけないな、という風に思いました。

――シンセのメタリックなアプローチなど近未来的なニュアンスがありますね。今作の時代背景などはありますか?

大渡 亮 小説という意味でいうと、これからの都会、これからの東京ということになります。

――伴さんはまた違ったイメージがあったりする?

伴 都美子 大きくは違いませんね。そのためのプロットでもあるので。「Alive」というタイトルの通り、“生きる”ということはいつの時代も人々のテーマになると思います。私も出産を経て、全然違うものの感じ方をするようになりました。私のクセなのですが、小さい頃から「何で生きているんだろう? 生きていて何の意味があるんだろう?」ということを考えることがあります。

 視点を変えて「生きていて良かった」と思うのは「どんなときなんだろう?」と考えると、感動したりすることが力になったりします。私自身、今は音楽をやっていますが、小さい頃は音楽を聴いて気持ちが救われたり、背中を押してもらった部分もある。音楽があって、色々勉強しました。私達は今それを伝える側にいるのですが、音楽にはそういう力があると思います。この「Alive」というタイトルができて着地したと思います。死生観は常に考えますね。

――生命というと、源は宇宙だと思うのですが、宇宙についても考えますか?

伴 都美子 映画『E.T.』好きですし、宇宙にも興味がありますよ。

大渡 亮 宇宙に行きたいかどうかはわからないですが、行かなければいけない日が来るような気がします…。自分達の文明を自分達で滅ぼしてしまうような過ちが今起きている気がします。だから火星への移住計画があったり。でも、それは伴ちゃんの子供の世代なのかもしれないね。

――そう考えると我々は世代として重要な位置にいますよね。

大渡 亮 負の連鎖のようなものを少しでも変えられるといいですよね。

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事