音楽を諦めかけたことも、村上佳佑　遂に立てたスタートライン

人生の節目に聴くとより歌詞が身に染みる

村上佳佑

――今回のレコーディングで気を付けた点は？

　この曲は凄く温かい感情を歌っているので、テンポ感のある爽やかで突き抜けたメロディなのですが、いかにそれが強くならないで優しい声色で歌えるかという点は意識しました。温かみが出るようにという所です。

――佳佑さんの歌はカドがなくマルいという印象があります。外国の方の低音の出し方に近いといいますか。佳佑さんの歌は高音と低音のバランスが特に優れていると感じました。

　ありがとうございます。洋楽と邦楽の歌の違いは「体が鳴るか鳴らないか」という部分で、そこは重点的に勉強させて頂いている部分です。

――「まもりたい〜この両手の中〜」はどんなシチュエーションで聴いてもらいたいですか？

　去年、兄に子供が生まれまして、僕は叔父になりました。そういう人生の節目というか、大切な人が出来たりした時に聴いて頂くと、この曲の歌詞が身に染みるんじゃないかなと思います。優しさと温かさを感じて、グッと感情が込み上げてくると思います。

――「泣いてもいいよ」は佳佑さんが作詞・作曲されたものですが、この曲はいつ頃出来たのでしょうか？

　これは大学生だった2011年の頃に作った曲です。僕自身が当時思っていたことなのですが、子供の時のように、悲しい時に素直に泣いたりしなくなっていたと感じてました。その中で僕自身に当てたような曲で、「辛い時は泣いてもいいんだよ」と、自分に言い聞かせた所があります。メロディが出来た時に「こんな歌詞だったらこの曲は良いな」と思って書いた曲です。京都に住んでいたので、京都の街の風景を浮かべながら作りました。

――曲を作る時の場所の環境は重要かと思われますが、47都道府県をまわっている今、その中で曲が出来る事はありますか？

　僕は曲をタイムリーに作曲出来なくて…。例えば、失恋をしている時に失恋の曲は辛すぎて書けなかったりします。ツアーをまわっている時はそれに一生懸命で、一段落した時に「これってこうだったな」と、思い出して書くという事が多いです。

――後々に思い出としてアウトプットするんですね。曲は基本的にギターで作る？

　そうです。コードが先行する事もあるし、メロディが先行していて後でコードをつける事もあります。だいたいミュージックの方から作ります。

――歌詞が先になる事はない？

　詞先は今までゼロです。言葉が出てくるとしたらメロディも既にそこにあるという事が多いです。

――割と同時進行なのかもしれないですね。「泣いてもいいよ」の歌のポイントは？

　鼻濁音（発音する時に鼻から音を抜く技法）や、息が多めの声や、空間を埋めていくような歌い方、そういった所を意識して歌いました。「泣いてもいいよ」という言葉がより伝わるように、スッと寄り添うような歌い方をしました。

――生活の中で泣きそうになってしまう瞬間はありますか？

　生活の中でですと、映画を観てよく泣きます。

――ということは感動系の映画が好き？

　何でも観ますね。ホラー系も観ますし。泣く時はヒューマンドラマ系だったり“感動のSF大作”だったりと。昔よりも涙もろくなっている気がします（笑）。

「ハナミズキ」は大学生の頃に戻る感じも

村上佳佑

――今作では一青窈さんの「ハナミズキ」のカバーが収録されています。なぜ数ある中からこの楽曲を？

　何にしようとなった時に、A-Zで歌うという事が決まってから「ハナミズキ」に決まりました。やはり『ハモネプ』で優勝した時の曲がいいなと思いまして。あとは、このアルバムの曲目を見た時に「ハナミズキ」だったらスッとはまるだろうなと思いました。

――A-Zのメンバーとは久しぶりに会った？

　何年ぶりという感じでした。みんな普通に仕事をしているんですけど、今回のために「歌ってくれないかな？」と連絡をしたら二つ返事で了承してくれました。

――メンバーはブランクもありますよね？

　なので最初は不安もありました。でも、いざやってみたら、いらぬ心配でした。みんなそれぞれ人として成長していて、大学生の頃に戻る感じもして嬉しかったです。

――音楽以外で昔を思い出す事はありますか？

　地元に帰ったりした時に「この道歩いたな」とか「ここでカブトムシ捕ったな」とか、そういう事はあります。

――カブトムシ捕りとは意外でした。少々インドアなイメージがあったもので。

　インドア派に見えますよね（笑）。でもこう見えて中学、高校とサッカー部で、ポジションはセンターバックでした。

――最近のアクティブ系の趣味は？

　家に折り畳み式のミニサイクルがあって、それでぷらっと街を一周するのが好きです。あと、今一番興味があるのがキャンプと釣りです。キャンプ用品一式を近々揃えようと思っています。