大人にはなっていない、電波少女ハシシ 30歳で見えた新たな心境
INTERVIEW

大人にはなっていない、電波少女ハシシ 30歳で見えた新たな心境


記者:小池直也

撮影:

掲載:17年06月16日

読了時間:約11分

成長というよりも自分を殺している

電波少女・ハシシ

電波少女・ハシシ

——次に作る楽曲の構想などはありますか?

 僕らに似合わないような、感謝を表すような曲を作ってみようかなと思っています。世間的に言うとストレートなものが、電波少女だとカウンターになります。家族に向けた曲も前からやってみたいというのはあります。生きているうちに伝えたいし。せっかくそういう職業でもありますし。

 でも、いざやってみると難しいんです。温めているテーマというのは大事すぎて、どう手を付けていいかわからない部分もあります。僕は今年30歳になりますけど、過去を客観視は出来る様になった気がします。当時は目の前しか見えてなくて、全部自分が正しいと思っていましたから。

——それは大人になったということ?

 なっていないと思います。成長というよりも自分を殺している感じです。自分の性格上、人と上手くやっていくためには仕方ないのかなと思います。ついてきてもらおうと思ったら自分を殺さなくてはいけないという事を学びました。大人は“我慢できる人”というイメージです。嫉妬深さとかを抑え込んでいる部分がありますけど、それを曲にすると爆発できます。

 少し前まではそういう事を恥ずかしいと思っていましたが、割と何でも大声で歌うと格好良いなと。「なんて馬鹿げた事をこいつは大声で歌っているんだろう」と思われても、率直に自分が思っている事なので、突き抜けてしまえば面白いと思います。やらなかったり、恥ずかしがっている方が恥ずかしい。

——中途半端が一番ダメかもしれないですね。

 電波少女のお客さんは、けっこう若い方が多いんです。高校生だったり、10代の子たちがメインで。20代後半の人たちは割と何周かしていると思います。僕もシンプルな言い方をしているんですけど、何周も何周も回って出て来た“今の答え”なので。

 1年後にはまた変わっているかもしれない。高校生の1周目と僕の3周目は、同じ位置でも全然違うんです。伝えたい全ては伝わらないかもしれないけど、それでも重なる部分だったり耳に入ってくる音で好きな人もいると思います。メインとしてはちょっと卑屈な部分が内面にある人達かなと。そういう人たちが今後どんどん年を重ねていって、逆の考え方になったりしてから、また戻ってきた時にもっと「あの頃よりわかるなあ」となってくれたら嬉しいです。

——今作のテーマは?

 今回の曲は凄い自己愛をテーマにしています。でも当時はそういう視点がなかった。普通に「好きだよ」というのを狂気じみているというのを捉えられたのは今だからこそなんじゃないかと思います。今の価値観で考えた時に「あの頃はどうかしてたな」と。内容はその時の気持ちなんですが。

 もっと上の世代の方で引っかかる人もいると思いますよ。「若い時にこういう事あった」という人が。先輩に可愛がってもらう事が多かったので、割とプライベートで遊ぶ人には年上の人も多いです。リスナーの方でも年上のお母さんとかおじさんとかいるんですけど、そういう方に「歌詞いいね」と言われると凄く嬉しいです。人生の先輩なので説得力が違いますよね。

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電波少女・ハシシ
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