音楽の力で開放して欲しい、入江悠監督 感覚ピエロに寄せた期待
INTERVIEW

音楽の力で開放して欲しい、入江悠監督 感覚ピエロに寄せた期待


記者:桂 伸也

撮影:

掲載:17年06月09日

読了時間:約10分

映画に沿いながら、何かを感じるような

感覚ピエロの横山直弘、秋月琢登(右)

――確かに映画の雰囲気が、最後にこの曲が流れるだけでだいぶ印象が違う感じがしますね。感覚ピエロ側としては、お二人で入江監督に最初にお会いした後に、持って帰ってどうなされたのでしょうか?

秋月琢登 そうですね、そこから僕らはもう制作にこもりっきりで。大変でした。

横山直弘 最初に脚本をいただいて、元々内容は全部知っていたのですが、それを改めて映画として映像で見て、やっぱり面白い。そんな作品でエンドロールには、BGMは流れていたけど、まだ曲は入っていなくて、そこに自分の曲を入れなきゃいけない、という事態を改めて認識して「おい、マジかよ?」って(笑)。

――そこで事態の大きさに気づいた感じだった?

横山直弘 まさしくそんな感じでした。それでその要件を持ち帰る時に、本編のエンドロール5分前からエンドロールまでの映像をもらって帰って、帰ったらメンバ
ー全員で、何度もリピートして見て…。

秋月琢登 「ここにハマんねん! ここに!」って言いながら作っていました(笑)。

――制作には相当悩まれたようですね。この楽曲の有り無しで、映画の印象自体もだいぶ変わるように感じました。

秋月琢登 そう、本当にインパクトみたいなところは、僕らも重視して作らせてもらいました。

――映画のジャンルの影響という部分ではいかがでしょうか? 前回提供されたドラマ「ゆとりですがなにか」とは全く異なる雰囲気。制作上迷われたというところでは、「自分らしさをストレートに出した方がいい」と思われたのか、あるいは「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤したのか。

感覚ピエロの秋月琢登

横山直弘 その意味では、今回の曲はどちらかというと元々自分たちにある側面を表現したものです、無理して作ったものではなく。以前の『ゆとりですがなにか』のことについても、たまたまあの作品に使ってもらったという経緯なので。

 楽曲についても、ゴリゴリのロックな曲もカッコいいと思うし、ポップな曲も好きだし、その切り替えはちゃんと僕らの中にはある。だからその意味では、僕らの楽曲はどれも全然無理をしていない、自分たちの側面を見せたもので、今回も自分たちのやりたいサウンドを素直に出せたと思っています。

――その意味では、映画自体のストーリーに、強く共感する部分もあったのかもしれませんね。歌詞自体はメンバー全員で議論をしたりすることはあったのでしょうか?

秋月琢登 いや、無いですね。基本的に僕らは、歌詞を書く人がその世界観を決めるという格好なので。だから今回の「疑問疑答」という曲の詞を描く時にも、メンバーに意見などは無いというか。

 今回は書き下ろしという僕らの中では初挑戦のことをやったので、純粋に映画に対するマッチングを考えながらやりました。ただ、逆に映画に寄せ過ぎると、感覚ピエロとしては浮いたものになってしまうので、そのバランスは楽曲を作る上で一番の課題でした。まあ僕らとしても、歌詞的には映画にも沿いながら、誰が聴いても何かを感じるようなものにしたいなと思っていました。

――入江監督としては、出来上がったものを聴いてどのような所感を得られたのでしょう? 何か予想外のものができたという驚きなどは?

入江悠 いや、そこは逆にまったく完成形を想像していなかったので、純粋に「おお!」という驚きと嬉しさが出てきましたね。そして具体的に映画とつながった時に、どうこの音楽の一番いい響きを出せるかということを、考えて。

 歌詞なんかはすごく絶妙なバランスだと思います。映画と遠過ぎず、近過ぎず。あの映画の世界観って、なかなか出せないのではないでしょうか。もちろん感覚ピエロ単独の作品としても成立して魅力があるものになっている。作る上では、いろんな苦しみがあったと思いますね。作る過程は知らなかったのですが(笑)。

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事