音質ではなくてフレーズとかが気になる
――今、またアナログレコードのブームが来ていますね。
高見沢俊彦 そうみたいね。カセットもブームらしくてびっくりするよ。
桜井 賢 お前カセット聴けるの?
高見沢俊彦 持ってないからネットで小さいやつ買ったよ!
桜井 賢 俺は昔のCDラジカセ持っているんだよ。昔、坂崎が録っていたライブの音源とか聴くために必要だからさ。
坂崎幸之助 最近CDラジカセは無いんだよね。
桜井 賢 だからずっととってあるんだよ…。VHSとレーザーディスクもね。それで時々観るんだけど映像が汚いんだよな(笑)。
高見沢俊彦 桜井はウォークマンの初代のものを持ってるんだよな?
――ヘッドフォンが付いていたものですか?
高見沢俊彦 そうそう。現役で使っているんだから(笑)。
桜井 賢 いやいや、現役じゃないよ(笑)。でも形としてはそのままあるけど。
――iPodなどは?
坂崎幸之助 使っていますよ。
桜井 賢 iPodは、俺は早かったんだぞ! iPod Classicだからね。
――最近はハイレゾもありますが皆さんとしてはいかがですか。
高見沢俊彦 ハイレゾも聴いたけど、もちろん悪くはないんだけど、僕はmac派なのでこれ(iPhone)で十分かな。
坂崎幸之助 オーディオまでいっちゃうとキリがないしね。
高見沢俊彦 僕らは音を発信する側なのでね。
坂崎幸之助 音が気になるというと、音質ではなくてフレーズとかが気になるんですよ。
高見沢俊彦 そこだな。俺はアレンジとかが気になる。
坂崎幸之助 今はヘッドフォンが凄くて専用のアンプとかあるでしょ? もう意味が分からない。
高見沢俊彦 低音とかを独立して出せるだろ?
――エンジニアの方が、作り手側が数万円のスピーカーで制作しているのに、リスナー側が何10万円のスピーカーで聴いているのは何か申し訳ない気持ちになるという話を聞いた事があるんです。
高見沢俊彦 それはジャンルによるのでは?やはりオーディオマニアの方は高いスピーカーで聴くと思うけど、今のほとんどの若者はスマホだからね。イヤフォンで聴いている人が多いからそれに合わせてMixもしていますよ。
――THE ALFEEはハイレゾ音源で出す予定はないのでしょうか。
高見沢俊彦 今はないですね。いずれはとは思いますが。ただ、音質を高める前に良い楽曲を作らないとね
――という事は、みんな好きな環境で聴いてもらって構わない?
高見沢俊彦 全然いいですよ。で、スマホで聴いて、いいなと思ったらコンサートでも聴いて欲しいですね。ライブに来れば家やスマホで、絶対聴けない大音量で聴けますからね。なのでCDなどで興味を持った方は、是非! ライブに来て欲しいですね。
解散は絶対にない
――今作ではライブでの曲も収録されています。「CRASH !」や「鋼鉄の巨人」という、節目に出されたものを今回収録した意図は?
高見沢俊彦 「あなたに贈る愛の歌」がラブバラードの王道で、僕が歌っているので、それの対極にあって、なおかつ二人が歌っている楽曲にしたかった。あえてハードロック的な曲を選んだというのもあるけどね。
――ライブでのお客さんは若い層も増えてきていますか?
高見沢俊彦 やっぱりキャリアが長いから幅は広がってきています。親子二代とか三代とか。小さな子もいますし。
――ライブのスタンスで変わってきた部分はありますか?
高見沢俊彦 無いです。春、秋、ツアーで夏のイベント。これは何があろうと全然変えていないですから。
――ここまでのキャリアをお持ちで、この本数をずっと続けられるというバイタリティはどこからくるのでしょうか?
桜井 賢 休むと出来なくなっちゃうから、休む訳にはいかないんです(笑)。
高見沢俊彦 休むと桜井がベースを忘れちゃうんですよ(笑)。まあ、これが自分達に染み付いているから無理にやっている訳ではなくて。無理をしていたらどこかで破綻してしまうと思うけど、無理をしない程度に出来る範囲でやっています。他の仕事もありますからね。
桜井 賢 だからちゃんと配分も、年に2回でこれくらいの数だったらこなしていけるとい感じでしょうね。
高見沢俊彦 以前はもっと多かったよな。
坂崎幸之助 年に倍の100回、120回、とかやっていたね。
桜井 賢 それはさすがにもうね(笑)。
――この先70歳になった時、また今回のThe KanLeKeeZのような新しい動きがありますか?
高見沢俊彦 「The コッキーズ(古希にちなんで)」になる。The KanLeKeeZの第二形態(笑)。
坂崎幸之助 88歳になったら「The ベージュ(米寿)」だよ。
桜井 賢 あと7年だぞ「The コッキーズ」まで(笑)。
高見沢俊彦 可能性は高い?(笑)。
――音楽性が変わる可能性も?
高見沢俊彦 「The コッキーズ」はいきなりフォークに戻るとか(笑)。
坂崎幸之助 何それ(笑)。
桜井 賢 今まで楽曲はハードなものから、フォーク的なものまでやって来たからな…。
――楽曲のキーを下げてライブをする方もいますが、下げませんよね?
坂崎幸之助 基本的にはしませんね。ただ曲によっては、アレンジを変えて下げている曲もありますが、基本は下げません。
――声を維持するコツなどは?
桜井 賢 やっぱりやり続けているからでしょうね。休むと喉をつくるのにまた何年かかかるんですよ。ライブ用の声にしなければいけないので。
高見沢俊彦 あとはやっぱり3人いるじゃない?助け合いの精神ですよ。
坂崎幸之助 誰かが調子悪くてもね。それをカヴァーし合える。
――ツアー中に風邪をひいてしまう事はありませんか?
坂崎幸之助 ありますよ。病院に行って「加齢によるものですね」とか言われたら救いようがない(笑)。
高見沢俊彦 それは仕方ない(笑)
桜井 賢 「喉を使わないようにして下さい」って言われても「それじゃ商売できねえんだよ!」ってな(笑)。
――来年の結成45年、その先の50周年に向けて、どういった心境でしょうか。
高見沢俊彦 例えばアスリートだったら必ず引退の時期が来るじゃないですか? 僕らはこの3人の形態でここまでやっているという事で「音楽は年齢ではない」という事を、身をもって証明している。この精神はやっぱり維持して行きたいですね。音楽を楽しいものであって、バンドは維持するものと思ってます。だから、僕らは年齢とうまく折り合いをつけながら、1年1年それらを証明していきますよ。
――解散は絶対ないですよね。
高見沢俊彦 ないね…。だって今さらしたってしょうがない(笑)。例えばさ、今年解散して再結成が66歳くらい? だったらしない方がいいよね! 解散したって、きっとまたやりたくなるから、だったら解散しない方が賢明だと思う。だからTHE ALFEE辞書に解散の文字はない(笑)。
坂崎幸之助 その通り(笑)!
――「三位一体」?
高見沢俊彦 そうそう。THE ALFEEはその言葉に集約されます。僕らの場合はソロというより、バンドという塊の方が強いしね。それがバンドの良さじゃないかな? 色んなバンドあるけど、僕らの世界はそういう世界です。
(取材=村上順一)