裏メッセージは豚トロはよく焼かないと
――THE イナズマ戦隊の楽曲は、いろんな経験を重ねた人ほど歌が胸に染み込んでいく、そう感じています。
上中丈弥 今は、世代に関係なくみんな大変やないですか。若い子だって、今は生きるのが大変な時代やと思う。僕らは「頑張ろうぜ」というメッセージを送ってますけど、中には、そういうのを毛嫌いする人もいると思うんです。だけど実際には、頑張らないと楽しめない世の中ですからね。逆に、頑張ったからこそ見える景色がある。THE イナズマ戦隊は、それを歌うバンドだから。
中田俊哉 丈弥の歌詞って、昔も今も「頑張ろうぜ」と書いてる姿勢に変わりはないんです。でも、新曲の「あいせてますように」のように、いろんな経験を重ね、いろんな見え方をしている今の丈弥だからこそ、昔の自分と比べながら書けた歌も多くなってきた。根っこにある部分は変わらないけど、いろいろ経験を積んだからこそ歌える“丈弥なりの歌”って確かにあるなと僕は感じています。
――<焼肉最高!!>と歌った「YAKINIKU」にも、丈弥さんなりの人生の積み重ねから生まれたものがあるのでしょうか?
中田俊哉 20代の頃だったら、「YAKINIKU」のような曲を丈弥は絶対に形にしなかった。「これを音源にしよう」と言ったら、「お前、ふざけんな」「なんでこんなもん、わざわざパッケージにするんや!!」と言ってたはずです(笑)。
だけど、「こういう歌もいいね」「これもTHE イナズマ戦隊の一部やね」「だって焼肉好きじゃん」と言って形に出来たのも、20年間活動しての経験の積み重ねなんだと思う。
上中丈弥 「YAKINIKU」に関しては、深い意味は何もないです。この歌の中へ「じつは裏テーマとして、昔、お母さんと一緒にこういう理由で食べた焼肉の味が忘れられなくて」というメッセージがあったら美しいけど、そんなん一切ないです。ただただ「焼肉が好き」というのみ。
――「YAKINIKU」の随所へ、メロディーのはまりと絡めた言葉遊びを投影していますよね。<ジュッジュッジュッ焼けー! 時々サンチュに巻け!>とか、最高の語呂合わせじゃないですか。
上中丈弥 そう歌ってますけど、自分は純粋に肉そのものを味わいたいんで、サンチュは巻かないですよ。豚トロも食べない。ただし、豚トロはよく焼かないとお腹を壊すっていうのはわかる。だから俺、<豚トロはよく焼け!>や<時々サンチュに巻け!>とは歌ってるけど、それを食ってるとは歌ってないからね。まぁ、あえて“裏メッセージ”を語るなら、「豚トロはよく焼かないと、お腹を壊すぞ」ということです(笑)。
久保裕行 もともと「YAKINIKU」は、「新曲をシングルにしよう。カップリングに入れるなら、こういう振り幅を持った歌もいいんじゃないか」ということで持ってきた曲だったんです。結果、Disc.1は5曲入りになったことから、1曲だけ色が異なる表情になりました。
「応援歌」は運命を変えた曲
――「ドレミファソング」でも、<ドレミファ空には>や<ドシラソファ道は>など上手い語呂合わせによる言葉を遊びをしていますよね。
上中丈弥 「ドレミファソング」は久保さんが作ってきた曲で、メロディーを聴いた瞬間に、それらの言葉がすぐに浮かんできました。この曲も、「人間って楽しい生き物だけど、でも、いろいろあるよね」ということを歌っているんですけど。あえて、子供でも聴いてわかるような歌詞にしています。
――「Let's go DO 根性」も、とてもメッセージの伝わりやすい歌ですよね。
上中丈弥 THE イナズマ戦隊のお客さんなら、絶対にこういう曲が好きなはずですよ。
――新曲の中でも特に、深い人生を歌った「赤い命が燃えている」と「あいせてますように」の2曲が胸にグッと響き魂を熱くさせました。
上中丈弥 2曲とも僕が作ったんですけど。
久保裕行 それ、別に言わんでええ(笑)。
上中丈弥 まぁ「赤い命が燃えている」は、ライブでも力強く歌えるTHE イナズマ戦隊のど真ん中にある曲ですからね。
――Disc.2に収録した曲群は、年代的にも幅広いのでしょうか?
山田武郎 幅広いですね。しかも、発売の早い年から年代順に並べています。
――この中では「応援歌」が一番古い歌になるわけですね。
上中丈弥 「応援歌」はTHE イナズマ戦隊の運命を変えた歌。この曲を演奏するようになってから、いろんなレコード会社や事務所の人たちが契約の話をしてくるようになったからね。
山田武郎 本当にバンドの運命を変えた曲だし、僕ら自身も、この楽曲によってバンド内の意志が固まったというか。「THE イナズマ戦隊はこういうことを歌いながら熱く演奏するバンドなんだ」となったからね。
久保裕行 『LIVE GOES ON!』というアルバムは、昔からTHE イナズマ戦隊を応援してくれてる人たちには新しい面を見せれてるし、これからTHE イナズマ戦隊を知る人たちには、代表曲をたくさん入れてる入門盤へもなるように、どちらの立場でも楽しめる作品になったなと思っています。
――心が弱くなったときこのアルバムを、いや、THE イナズマ戦隊の歌を聴くと心に力が沸き上がってきます。
上中丈弥 THE イナズマ戦隊は、そうあるべきバンドだと思っています。僕らは、いつだって自分らの信じてる物事に向けて突き進めば、それに対して強いメッセージを投げていく。たとえ失敗しても、それをまたメッセージに変えてゆく。そのメッセージを受け止めてくれる人たちがいるからこそ、その想いをキャッチボールし続けていく。そういうバンドだと思っています。