誰かの人生の1ページに、naNami アニソンカバーで見えた未来
INTERVIEW

誰かの人生の1ページに、naNami アニソンカバーで見えた未来


記者:村上順一

撮影:

掲載:17年05月09日

読了時間:約16分

ギターはいまだに大嫌い

naNami

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――14歳から作曲をし始めたとの事ですが、自分が作って発信したいという思いがその頃から強かった?

 14歳の頃、YUIさんやアヴリル・ラヴィーンさんが凄く人気があったんです。女性ボーカル=シンガーソングライターみたいな時代だったんです。家の倉庫におじいちゃんのアコースティックギターがあったんですけど、それを形だけ真似して「イェー!」という感じで弾いていました。曲を作ろうというよりも、アドリブで弾いていたらメロディが出来てきて、「これが作曲という事なんだ」という所から入ったんです。

――アドリブで弾いていたんですか?

 そうなんです。コードを弾いているとメロディが浮かんでくるので、それを歌っていたら「これが作曲なんだな」と気付いたんです。メロディを作るのが大好きで、歌詞は後からつけるタイプなんです。聴こえてきた音をメロディにして、それを録音するという原始的な作り方で始めました。

――メロディはよく「降って来る」という方もおられますが、naNamiさんもそのような感覚?

 Cのコードだったら、そこから出るメロディという作り方です。和音からインスパイアされる感覚なんです。

――コードを鳴らした瞬間にメロディが浮かぶ?

 そうですね。気分と、最近聴いた音楽の影響で出て来るメロディですね。けっこう環境によって左右されやすい作曲のやり方かもしれないです。

――ギターで作曲されるnaNamiさんですが、ギターが嫌いなんですよね。

 そうなんです。いまだに大嫌いです…。

――それはなぜ?

 ギターは曲を作るためのツールとしか思っていなくて、ギタリストになりたい訳ではないし「曲を作る為に助けてくれる相方」という感じです。『弾き語りLIVE~ギターなんて大嫌い~』というタイトルでライブをさせて頂いているくらいなので、ファンの方々には知られている事なんです。

――ピアノが弾けたら、ギターは使ってなかった?

 たまたまそこにピアノがあったらそうでしたね。ギターは嫌いだからこそ、コードのFはいまだにちゃんと弾けないんです(笑)。自分が「Fだと思うFのコード」を弾いているので、自分が弾いている和音が何なのかというのが分からないまま作曲をしているんです。逃げ道ばかりで、もし真っ向から「Fのコード」に向き合っていたらギターをやめていたかもしれないので、逃げ道って続ければ悪い事ではないのかなと思いました。

――Fのコードは指盤の抑え方が難しい初心者の“難関のコード”ですからね。

 だからこそ、Fに突っかかる人達の気持ちには凄く答えられます(笑)。やめない事が一番大事だと思います。

――今使用しているギターは凄く良い響きですよね。いつ頃から使っていますか?

 YAMAHAのギターなんですけど、1年半くらい前からです。デビュー当時は違うギターだったんです。

――黒いギターですよね?

 そうです。それもYAMAHAのギターなんです。音が私のタイプです。自分の声に寄り添ってくれる音なので凄く好きなギターです。

――指弾きでもコードストロークでも良い響きで凄くバランスの良いサウンドだと思いました。

 それはYAMAHAギター特有の魅力ですよね。

――そのYAMAHAのギターは何の種類ですか?

 YAMAHA Lシリーズの26です。

――Martinなどの海外ブランドのギターも使いますか?

 Martinは“アコギ”という感じの生っぽい音がしますよね。洋楽っぽいと言うか。YAMAHAはグランドピアノのような感じなので、Martinの音が好きな方はYAMAHAのアコギは音が整い過ぎているという方もいますね。

 オーディションがYAMAHAだからという訳ではなく、ずっとYAMAHAのギターを弾いていたので、ご縁があったんですかね。だからか、YAMAHA以外のギターを弾いてみると私は「違う」という感じるんですよね。

――自分の声と合わなかったり?

 そうですね。最初から弾いていたギターが違っていたら歌い方も違っていたかもしれません。

ボーカリストとしての自分を新しく見つけたい

naNami

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――今作はアーティスト名を「ななみ」から「naNami」表記に変えてのカバーアルバムですね。

 この作品の前に『機動戦士ガンダムユニコーン』のEDテーマを歌わせて頂いた事がありまして、その時がこの「naNami」という表記だったんです。自分ではない方の歌を自分の声で表現するという事に興味を持ったので、ボーカリストとしての自分を新しく見つけたいという気持ちもあって、名前の表記を変えました。

――シンガーソングライターとしてではなく、ボーカリスト「naNami」という事ですね。

 その2つの自分が同時に活動しているという感じです。ひらがな表記でやると「もうこれでやっちゃうのかな」と思う人もいるかもしれないので。でも、自分はまだまだ自分の言葉でメッセージを伝える事があるので曲を作っていきたいという気持ちがあるんです。

――『この歌がいつか誰かの決心になりますように』というアルバムタイトルが、シンガーソングライターとしての名残もありますよね。

 カバーアルバムなのにこのタイトルという感じもありますね。昔の名曲もあるので、懐かしい曲を聴いた時に、子供の頃の自分の願望や子供の頃に感じていた世界などを大人になってから思い出すと、それが実現出来ていなかったり、なりたくない大人になっていたりという事を思い出す人もいるかもしれないと思ったんです。そう思ってくれた人達が、明日から決心になれば良いなと思ってこのタイトルにしました。

――タイトルはどの段階でつけられたのでしょうか?

 全部出来上がってからです。このアルバムを通して何を伝えたいかと考えた時に出てきたのが、涙や感動だったので、そこについてくるのものは、誰かの明日の決心だったり、何かを選択する時だと思ったんです。

――まだnaNamiさんが生まれていない時代の曲もありますね。

 そうなんです。自分と同い年の曲もあったり。

――『YAWARA!』の「いつもそこに君がいた」はまさにそう?

 1993年にアニメで流れていたので、ほぼ私と同じ世代ですね。

――ネットやTVで観て、良いなと思ったアニメから選曲したのでしょうか?

 そうですね。どの原曲も素晴らしい楽曲なんですけど、自分の中で集めた候補の中で私にしか出来ない事を何かプラスアルファして出来る曲を選びたいと思ったんです。「自分らしくしやすいな」と思う曲を選びました。

――歌いながら自分の幼少期を思い出したりしますか?

 『キテレツ大百科』とか『ドラゴンボール』は特にそうです。

――『ドラゴンボール』はnaNamiさんが生まれる前の作品ですよね?

 アニマックス(アニメ専門チャンネル)などでずっと再放送を観ていたので覚えているんです。

――『ドラゴンボール』EDテーマの「ロマンティックあげるよ」はその時からお気に入りの楽曲だったんですね。

 <ロマンティックあげるよ♪>ってずっと歌っていました(笑)。

――幼い頃って無駄に録音したりすると思うんですけど、その時に録った歌とか残っていませんか?

 カラオケに行ってわざわざ録音していました。自分の声って、録音して聴くと最初は変な感じに聴こえるじゃないですか?

――あれ嫌ですよね。特に自分が喋っている声。

 それを何回も聴いているうちに慣れてくるというか。そういう特訓みたいな事をしていました。

――特訓だったんですね。だんだん慣れてきた?

 そうですね。録音した声を聴くのと自分が発する声がだんだんと一致してくるんです。今では違和感はないんです。

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