今と同じ気持ちで音楽を届けたい
ーー春奈るなの「今」は?
充実していると思います。デビューして5年、すごいスピードで物事が進んで来て、あっと言う間だったと思えるのは、きっと過ごしてきた時間が充実していたからだったと思います。出会いもそうだし、いろいろなものに恵まれて来たと思います。
ーー辛いことや嫌なこともあったでしょ?
葛藤みたいなものは、すごくありました。悩んだ時期もありました。
実は、デビューした当初のライブで、最後のMCで言葉が浮かばず、頭が真っ白になってしまって。その後は、歌を届けたいとかよりも、とにかく早く終わらせたいという、いちばんダメな気持ちでライブをしてしまって。終わった後は、めちゃめちゃ落ち込みました。
せっかくみんなに元気を持って帰ってもらいたいと思っていたのに、逆にみんなから「頑張って」と声をかけてもらって。悔しさと同時に自信も失って。でもそこから、自分らしいライブとはどんなものなのか考えるようになり、次のライブでは、吹っ切れてすごく楽しむことが出来ました。お客さんとコミュニケーションを取ることの楽しさを実感して、もっとライブをたくさんやりたいと思うようになりました。
ーーこの5年の間で、いちばん大切にしたものは何ですか?
歌の中における、気持ちや感情を伝えるということ。
ーーそれが叶わないときもあるわけで、そういうときは、どうやって自分を奮い立たせていたのですか?
落ち込んだときは、いろんな人の意見を聞いたりもするけど、あまり悩みすぎずに、良い意味で気持ちをリセットして、次に臨むようにして来ましたね。
それこそ趣味に没頭するとか。その趣味の中で、自信を取り戻す瞬間がたくさんあって。たとえばアニメのセリフに救われたこともあるし。アニメのキャラクターのような強さを持ちたいと、目標を作ってみたりとか。
ーー『おそ松さん』の沼にハマっているのも、役立ってるわけですね。
そうですね(笑)。『おそ松さん』は、キャラクターたちがグダグダしているので、反面教師的に見るときもあって。自分はもっとしっかりしなきゃダメだと、前向きな気持ちが沸いてくる部分もあります。
ーー今日は、「一松」のために頑張ろうとか?
ありますよ。あと何日したらグッズの発売日だから、その日を迎えるために頑張ろう! って。そういう意味で、趣味って自分のやる気を左右するという部分で、精神的な面ですごく大切なものだと思っています。
ーー今後の新しい目標とか、やってみたいことは?
今と変わらずアニメに寄り添った曲を歌っていきたいし、大きな会場でライブをやってみたいのはあります。あと、フライングに挑戦したいです。私の曲には「Overfly」とか、空をイメージさせる曲がけっこうあるので、フライングしながら歌ったら合うんじゃないかなって。
でも、それには続けて行くことが、大事だと思っています。10周年、15周年と、ちゃんと迎えられる活動をしていきたいです。年齢を重ねても、好きなものに対する気持ちはそのままに、今と同じ気持ちで、これからも音楽を届けたいと思っています。
(取材=榑林史章)
◆春奈るな 第4回全日本アニソングランプリでファイナリストに選ばれ、2012年にシングル「空は高く風は歌う」でCDデビュー。アニメ『ソードアート・オンライン』シリーズや『ハイスクール・フリート』、『Fate/Zero』など人気アニメのテーマソングを担当し、これまでに10枚のシングルと2枚のアルバムなどをリリース。『KERA』のモデルとしても活躍し、アジア諸国や欧米諸国でのライブイベントにも数多く招聘される人気。