LEO、日米ハーフ筝曲奏者が語る音楽のジャンルを超えた箏の魅力
INTERVIEW

LEO、日米ハーフ筝曲奏者が語る音楽のジャンルを超えた箏の魅力


記者:小池直也

撮影:

掲載:17年04月10日

読了時間:約14分

箏の音楽は世界でも通用する

LEO(撮影=小池直也)

――箏の音楽というと踊る感じではないですよね。

 正座して弾く時もあるんですけど、僕は普段、箏を台の上に置いて椅子に座って弾いているんです。音楽に入り込んでしまうと、気づいたら上半身で踊っちゃっていたんですよね(笑)。演奏より格好が目立ってしまうので、今はやめましたけど。だから体が勝手に動いちゃうという感じです。だから音楽自体が好きなんですよね。ジャズもクラシックも、色々なジャンルの音楽が好きで、その中に箏もある感じ。

 次のアルバムを出すとしたら、ポップスのアレンジも良いかなと思います。あとは今回収録した箏と尺八とか、箏と十七絃箏の二重奏だけでなく、大きな編成の合奏も録音したいです。コンチェルト(今でいうフィーチャリング曲)も面白い曲がありますし、合奏の時の箏の迫力も凄いのでそこも聴いてほしいと思います。

――古典と現代曲の違いについても教えていただけますか?

 自分のイメージだと、現代曲は「自分のイメージできる事全てをやっていい」という印象です。古典だと「ある程度の枠組みがあって、その中から外れない様に自分の個性を出す」という感じです。中心にあるのは古典の基礎なので、現代曲をやる上でも古典ができた方がより良い演奏が出来ると思います。土台がしっかりした方が、突拍子もないことをやってもそれを支えられるんです。

――校則や制服の中でお洒落をする高校生に似ているかもしれませんね。

 そうかもしれませんね。現代曲は原宿のファッションの様な感じです。僕、服も結構好きなんです。箏を始めるまでは目立たない感じだったんですけど、始めてからは目立ちたくなって(笑)。洋服にも興味が出たんです。好きなものは音楽と服。最近はゴシックみたいな、真っ黒で少し奇抜な服が好きですね。

――サブスクリプション(定額制)型音楽配信サービスが日本で定着してきて、箏の曲が世界でも聴かれる時代になったと思いますが、どうお考えですか。

 YouTubeなどにアップしたら世界中の人が見られますよね。僕も何回か海外に演奏で行ったりした事があるんですけど。さきほども話しましたが、日本人は箏に対して「お正月にかかっている地味な音楽」というイメージがあると思うんです。でも海外の人は無くて。去年の11月にニューヨークの小学校でワークショップをやったら、子どもたちが何の固定概念もないので、凄くフリーな感じで。「その楽器どこで買うの?」とか反応がよかったんです。

 その前の年にニューヨークで大学生の前で演奏した時も、箏の曲を気に入ってくれて「是非また来てください」と言ってくれたり。やはり外国の人でも聴いてもらえると親しんでもらえるんだなと。寧ろ、外国人の方の反応が良い様な気がします。だから海外に向けて発信しても箏は通用するんじゃないかと思います。

――最後に読者に一言お願いします。

 このアルバムを手に取って頂いて、箏を身近に感じてもらいたいと思います。絶対親しみやすい音楽なので、聴いて頂ければ嬉しいです。

(取材・撮影=小池直也)

作品情報

『玲央 1st』

01.「讃歌 Sanka」
 作曲:沢井忠夫
 箏:LEO
02.「テイク・ファイブ Take Five」
 作曲:ポール・デスモンド 編曲:Haruka Kanata
 キーボード:ミッキー吉野
 ベース:鳴瀬喜博
 和太鼓:ヒダノ修一
 ピアノ:Haruka Kanata
 箏:LEO
03.「春の海 Haru No Umi」
 作曲:宮城道雄
 尺八:藤原道山
 箏:LEO
04.「斜影 Sha-ei」
 作曲:沢井比河流
 箏:LEO
05.「百花譜 Hyakkafu」
 作曲:沢井忠夫
 十七絃箏:マクイーン時田 深山
 箏:LEO
06.「トルコマーチ Rondo Alla Turca」
 作曲:W.A.モーツァルト 編曲:神田佳子
 箏:LEO
07.「十七絃箏のための さくら変奏曲 Sakura」
 作曲:今野玲央
 十七絃箏:LEO

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