日本は特別な場所、CheapTrickリック　Charとはセッションしたい

今までひとつのものだけに頼ったことがない

愛されるのには、良い音楽、良いライブをおこなっていくことが秘訣と語った

――ここ数年、音楽シーン全体が落ち込んでいるように思えます。CDが売れなくなってきて、なかには「アルバムを作ることに意義を見出せない」と言っているバンドもいるようなのですが、音楽シーン、特にロックシーンはこの先どのようになっていくと思いますか。

　CDなどの売り上げが全体的に落ち込んだことは、確かに残念なことだと思うよ。でも、現実として自分たちはそれに対して何も出来ないんだよ。現実として受け入れるしかない部分もあるからね。僕らが何か出来ることがあれば積極的に盛り上げていきたいね。

　でも、そんなに悲観しているわけでもないんだ。音楽というもの自体、例えばフェスなんかは増えてきていると思うしね。チープ・トリックに関して言えば、今までひとつのものだけに頼ったことがないんだ。

　例えば、ラジオやテレビのおかげで得たヒットだけに頼ったことはないし、ずっとライブバンドとして続けてきたので、自分たちにはライブが常にある。そういう自力が大事なんじゃないかな。

――ライブバンドとして約40年続けてこられたわけですが、会場の大きさにこだわりはありますか。例えば小さいところの方がオーディエンスが近いから好きとかありますか。

　どこも好きだね。場所にこだわりはないよ。３年前に『SUMMER SONIC』で来日した時は、サプライズショウとして夜に小さなクラブで、30人ぐらいのファンの前でも演奏したよ。あと、日本のファンの中には世界各国のライブに来てくれる、熱烈なファンもいるんだよ（笑）たぶんその人たちは、200回以上観に来てくれてるんじゃないかな。

良い音楽、良いライブをおこなっていくことが秘訣

ロックの殿堂入りを果たしたチープ・トリックのギタリスト、リック・ニールセン『Classic Rock Awards 2016』への意気込みを語る。　

――４月にリリースされたニューアルバムについてもお聞きしたいのですが、『Bang Zoom Crazy...Hello』というタイトルはどのような意味があるのですか。

　ひとつひとつがインパクトがある言葉をチョイスしたんだよ。誰も分からないような小難しいタイトルをつけるより、分かりやすい方がいいだろうと思ってね。ギターピックもアルバムタイトルに合わせて、４つに分けて製作してみたよ。（Bang、Zoom、Crazy、Helloが１単語づつピックに印刷されている。カラーバリエーションも豊富）

――確かに覚えやすいですね。アルバムを聴かせて頂いて、楽曲の良さもさることながら、リックさんのオーバードライブしたギターサウンドが、すごく気持ちいいですね。このような魅力的な音を出すには、どのようなプロセスを踏んでいけば良いのでしょうか。裏技やサウンドメイクのコツなどあれば教えてください。

　キモチイイ??　それはどんな餅だい??（スマートフォンの音声検索を始めるリック）なんだ、feel goodのことか（笑）。サウンドに関しては秘密などないよ（笑）。強いて言えば、フェンダーデラックスというアンプを使うことかな。あと1stアルバムの『Cheap Trick』（1977年）の時から使っているホットロッドアンプや、他に初期のORANGE（ギターアンプ）なんかも使っているよ。それらを使用すれば僕のサウンドになるよ（笑）。

――ちなみに『Bang Zoom Crazy...Hello』でギターは何本ぐらい使用されたのですか。

　新作では15本ぐらいかな。でも、僕が所有しているギターは450本だよ。その中の15本しか使っていない（笑）贅沢だよね。

――450本ですか!?　今回のアルバムで使用された15本が、特に気に入っているギターなのでしょうか。

　いやいや、もっとたくさん気に入っているギターはあるよ！（ここでスマートフォンに入っているギターコレクションの一部を見せる）あと、僕のコレクションの一部を販売するオフィシャル・オンライン・ショップ「Reverb.com」というサイトもある。たくさんあるから家にギターを見に来るといいよ（笑）。

――ぜひ観に行きたいです！　では最後に、約40年という長い年月、人生の半分以上をチープ・トリックで活動されてきていますが、チープ・トリックがこんなにも世界中で支持され続けてきた要因は何だと思いますか。

　見た目がカッコイイからだな（笑）。他のバンドの人も同じことを言うと思うけど、やっぱり良い音楽を作り続けることじゃないかな。そして、毎回良いライブをおこなっていくことだね。シンプルなことだけど、当たり前のことを、しっかりと手を抜かずにやっていくことが秘訣じゃないかな。

（取材・村上順一／撮影・松尾模糊）

冗談を交えながらもロックについて真剣に語った

　◆Cheap Trickとは　Cheap Trickは74年に結成され、77年にメジャーデビュー。ロビン・ザンダー（Vo）、リック・ニールセン（Gt）、トム・ピーターソン（Ba）、ダックス・ニールセン（Dr）の４人編成。78年におこなわれた日本武道館でのライブを収録したアルバム『チープ・トリックat武道館』が大ヒットし世界に名を轟かす。一聴して彼らとわかるキャッチーでポップ、パンクさらにメタルの要素も併せ持つ音楽を作り続け、「甘い罠（I Want You To Want Me）」（1979年 全米７位）、「サレンダー」(1978)、「永遠の愛の炎（The Flame）」（1988年 全米１位）といったタイムレスなヒット曲を生んできた。

　5000公演以上のライヴ、2000万を超えるレコード・セールス、29のサウンドトラックに曲を提供、40以上の世界各国ゴールド＆プラチナム・ディスク認定、という実績を誇り、地元シカゴのNARAS（ナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンス）は2007年に彼らの音楽業界への貢献を称える栄誉を授与した。そして、今年「The Rock and Roll Hall of Fame and Museum」、ロックの殿堂入りを果たした。

イベント概要

「THE CLASSIC ROCK AWARDS 2016 + LIVE PERFORMANCE」
出演アーティスト：ジェフ・ベック、チープ・トリック、リッチー・サンボラ、オリアンティ and more…
日時：2016 年11月11日
会場：東京・両国国技館
時間：17:00 開場 18:00 開演(予定)
チケット：チケットぴあで、６月18日より最速独占先行販売決定。