SUNDAY STAGE(2日目:2016年1月24日)

TrySail

TrySail

 2日目も勢い十分のスタートを切った。オープニングはサウンド・クリエイターの“sat”こと八木沼悟志と、ボーカリストの南條愛乃による人気のユニットグループfripSideだ。疾走する16ビートに、あふれ出すようなハーモニーが幾重にも重なり、目まぐるしい転調が続く。そんな中で、ストーリーを決定付ける南條のボーカル。聴いているだけでじっとしていられなくなるそのサウンドに、会場の観衆はみな最初からヒートアップ。この日のステージは、彼らのアンセム「only my railgun」を封印という触れ込みでスタートしていたが、そんなことはお構い無しに、会場は猛烈な熱気に包まれた。そして最後はその禁じ手としていた「only my railgun」を披露。いい意味で期待を裏切られた観衆は大満足。続くイベントのステージへの期待を膨らませていた。

 初っ端から攻めるような怒涛のステージを展開したfripSideに続いて登場したのは、新進気鋭の声優、麻倉もも、雨宮天、夏川椎菜の3人によるガールズユニット、TrySail。フレッシュな雰囲気あふれる3人は、まだ昨年アーティストデビューを果たしたばかりながら、堂々のステージを展開。MCでは初の武道館出演に素直に感動しているコメントを語りながらも、ステージではミドルテンポの8ビートに乗せた、ポップで爽やかなサウンドの中で、見ているものをキュンとさせるようなパフォーマンスとボーカルで観衆を魅了。近年の人気アイドルグループのステージにも引けをとらない、いや声優という別の個性を持った特別なグループとして、最高に楽しいひと時を演出した。

内田真礼

内田真礼

 さらにTrySailに続いて登場したのは、同じく声優としてのキャリアも持ちながら、2014年にアーティストデビューを果たした内田真礼。2014年に行われた第4回のステージではアイドルマスター シンデレラガールズのメンバーの一員として登場したが、今回は初めて単独での登場となった。内田とはプロデューサーとして深く関わっている司会の冨田が「その才能に驚かされるばかり、いろんな引き出しをバンバンと開いている」と絶賛するとおり、自身のキュートな面、素直な面、力強い面などさまざまな姿を歌に乗せて披露、バラエティに富んだステージで観衆を魅了した。ときに観衆とコール&レスポンスを決めるなど『リスアニ!LIVE』の重視するライブ間というテーマにもしっかり迫り、アニソンファンたちの耳を十分に堪能させていた。

綾野ましろ

綾野ましろ

 そしてイベント中盤。この日のExtra Artistとして登場したのは、シンガー綾野ましろ。北海道を中心に活動しているアーティストだが、短いステージの中、圧巻のパフォーマンスで観衆を圧倒した。たった3曲の披露の中、迫真の表情で見せたそのステージは、司会の冨田に「もっと見たかった」と言わせるほどの魅力でいっぱい。白を基調とした、清楚ながら艶やかな姿。そこから発せられる、澄んだような、しかし突き抜けるような強さを持った声には、神々しささえ感じられるほどだ。ステージ後には初の武道館のステージに感動し「ずっと泣くのを我慢していた」と語っていた綾野。駆け抜けるようなつかの間のステージで、会場の観衆の気持ちをグッとつかみ、その存在を印象付けた。

Aimer

Aimer

 エキサイティングなステージの中、絶妙なアクセントを与える一人のアーティストが続いた。2011年にデビューしたシンガー・ソングライターAimer。J-POPという広い分野においても絶大な評価を得ている、独特な世界観を持った歌姫だ。生々しさすら感じるローボイスと、感情の高鳴りを示すようなサビのハイトーン。「最後まで、心を込めて歌います」MCで語ったそのコメントに違わない、感情を揺さぶるようなその歌に、観衆は心を奪われたように静かに耳を傾けていた。昨年のツアーでは、ステージで声が出ないというハプニングに見舞われながら、応援を絶やさなかった観衆に感動し「二度とそんな悲しいステージは行わない」そんな決意をしたというAimer。ピアノとのデュオによる静かなエンディングで、深い余韻を観衆の胸のうちに残した。

LiSA

LiSA

 いよいよ『リスアニ!LIVE 2016』のステージも大詰め、さらにビッグなアーティストがやってきた。『リスアニ!LIVE』には初回から出演を果たしているシンガー、LiSAだ。2011年にソロ・デビュー、まだ活動5年というキャリアながら、さまざまなジャンルの楽曲を歌いこなす変幻自在の歌声は、幅広い評価を集め、昨年は幕張メッセ国際展示場でのワンマン・ライブを成功させるなど、大きな実績を積み上げつつある。その実力はこの日のステージでも遺憾なく発揮され、ヘヴィなロックナンバーからバラードまで、さまざまな表情を見せていた。「今日と同じように楽しむことはもうできない。だから今日は思い切り楽しもう!」そう語った彼女の表情は、観衆に対してまるで広大な武道館でのステージを見せているとは思えないほどの、距離の近さを感じさせ、最後まで会場を熱狂の嵐に巻き込んだ。

 そして迎えた、『リスアニ!LIVE 2016』のラストを飾ったアーティストは、シンガーの川田まみ。司会の冨田に「かつてその歌を聴いたときに『アニソンは世界に誇るべきものだ』と確信した」と言わしめるほどの、アニソン界での存在感を持った、トップクラスの実力を持ったアーティストだ。ラストステージという重圧など微塵も感じさせない余裕の表情、そして発せられる伸びやかな歌声、表情豊かなビブラートと、その魅力をあますところなく発揮し、さらに観衆を熱狂させる。それでも「みんな、まだ元気ありますか!?武道館。盛り上がっていますか!?『リスアニ!LIVE』、掛かって来いよ!」とさらに観衆を煽る川田。

川田まみ

川田まみ

 しかし一方、4曲を歌い終えた後には、川田からの衝撃の発表が待っていた。それは、5月のファイナルライブをもっての引退宣言。会場の方々から「嫌だ!」「辞めないで!」との声があちこちから上がる中、川田は務めて笑顔を見せようとしていた。しかし、その端々には緊張と苦悶のような表情が見え隠れしていた。そしてデビューからの道のりを振り返りながら、出演を続けてきた『リスアニ!LIVE』を含め、自身を支えてきた全ての人へ向けた感謝の言葉をコメント。

 そして、意を決したようにラストスパートへ。「まだまだ!みんなの声、聞かせてよ!」ブレない力強さを見せるその声の向こうで、観衆に語りかけていた川田。その声に答えるように、声を張り上げ、腕を振り、最高の盛り上がりを見せた観衆。そして、エンディング。決意の表明と、熱狂のステージをしっかりとやり切ると「みんな本当に、本当に感動をありがとうね!」と、感謝の言葉を叫んだ川田。その表情には、フッと安堵にも似た表情が見えていた。

 イベントが終わり、観衆が帰路へ向かおうとしている中、一人の青年が頭を抱えてうずくまっているのを見た。川田の告白に、大きなショックを受けたらしい。その突然の告白には、大きな衝撃を受けた観衆も少なくなかったに違いない。それは逆に、それだけ彼女自身の音が愛され、親しまれているという証しにも見える。そんな彼女を始め、このステージに登場したアーティスト全ては、とてつもなく大きな魅力にあふれ、多くの人に愛されている。また、このステージを機に、さらに多くの人に愛されようとしている。6回もの歴史を積み重ねただけに、さまざまなドラマすらも見せてくれるこのイベント。衝撃や感動とともに、次はどんな魅力を人々にもたらしてくれるだろうか?イベントが終わった瞬間から、私はステージの余韻を感じながらも、既にそんな思いに駆られずにはいられなくなっていた。(取材・桂 伸也)

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