BLUE ENCOUNT「世界で音楽を鳴らせるように」未来を見据えたバンドの姿勢
INTERVIEW

BLUE ENCOUNT「世界で音楽を鳴らせるように」未来を見据えたバンドの姿勢


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年11月25日

読了時間:約11分

攻めたカップリング「girl」

高村佳秀

――カップリングの「girl」はオール英詞ですね。

田邊駿一 僕らは英詞の曲は沢山あるんですけど、すごく久しぶりです。カップリングとしては2015年にリリースした「DAY×DAY」に収録された「AI」以来かもしれないです。僕はシングルの1曲目をバックアップしてくれるものがカップリングだと思っているので、そういう意味では攻めることが出来た1曲になったなと思っていて、「ポラリス」とは真逆の曲を作りたいなと思ったところもあります。言いたいことを詰め込んだ英詞にしようと思って。僕の書く英詞は耳馴染みの良い言葉をAメロに持ってくることが多いんですけど、言いたいことにメロディを当てている感覚もあります。

――サウンドはシンプルにして、歌をすごく際立たせているなと思いました。ドラムも8ビートを主にして、ギターもアルペジオで彩りを加える、すごくシンプルだけど効果的なアレンジで。

高村佳秀 僕らのルーツにELLEGARDENという共通のバンドがあって、そういうのを通って来ているので、こういう曲をやったときに、そういったルーツミュージックのイメージがすごく湧いてくるんです。僕は余計なものはいらない、堅実にビートを刻み続けることを意識しました。

江口雄也 田邊にイメージを聞いたときに、癖の強すぎるギターは乗せないでほしい、洋楽のような感じのギターというのがありました。この曲を作っていた時期がサマソニの少し後ぐらいだったんですけど、YouTubeのおすすめに1975(英・マンチェスター出身のオルタナティブ・ロックバンド)がよく出ていて、僕もサブスクとかでもよく聴いていたこともあり、1975のギターの感じがすごく良かったので、そのイメージにしたいなと思いました。

 一聴すると普通のアルペジオっぽく聞こえるんですけど、開放弦の音を1音混ぜていて、ちょっと音域から飛んだ音が入っているんです。その音が入っていることによって浮遊感が出て、「girl」のような雰囲気になっているんです。洋楽からヒントをもらって、ずっとループ出来るようなアルペジオにしました。

――確かに洋楽っぽいサウンドになっています。タイトルにもある「girl」はどんなイメージなんですか。

田邊駿一 これは主観で描いていて、ある1人の男の子が、上手くいっていない女の子をずっと見ている感じです。

――私は<Take my luck I don't know what to say...(僕の幸運さえも持っていってよ)>の部分が、そこまで思わせてくれる人がいたらすごいなと思いました。

田邊駿一 これは歌詞を読んでもらった人に、それぞれが当てはめてもらえたら良いなと思います。確かになかなかこういう人はいないなと僕も感じますし、いないんじゃないかとも思うんです。(心が)落ちていることを人に察せられる人はなかなかいないと思いますし、実際みんなそれを隠して生きていると思っていて。なので、色んな見方が出来る歌詞だと思います。

高村佳秀 僕はこういう歌詞は書けないので、田邊はこういう事を考えているんだと、面白いです。「ポラリス」は僕らのことを代弁して書いてくれているというのはわかるんですけど、「girl」は田邊の中にあるストーリー、経験してきたことが反映されていると思います。

――田邊駿一さんはどういう時にこういう歌詞が思い浮かぶんですか。

田邊駿一 例えばある映画の主題歌になったとしたら、こうなるかなとか、まず自分で設定や配役を決めて、監督のように映画作品を作っていくんです。そこから、最後のセリフからエンドロールが流れて曲が入ってくるイメージから考えたり、ラブソングはそういった感じで作ることが多いです。なので、おそらく実際に出てくる登場人物みたいな人と会ってしまったら僕は書けないと思うんです。ありそうでなさそうなフィクションを描きたいなと思っています。

――さて、今みなさんが考える、バンドの理想像はどんなものですか。

高村佳秀 音楽をやっているものとして、目指さなきゃいけないのは世界だと思っています。アジア圏はもちろんのこと、アメリカやヨーロッパでも音楽を鳴らせるようにならなければいけないというのはあります。究極だとは思うんですけど、そこは常に見据えておかなければいけないなと思っています。それは1月に話した中にもありました。これは僕の考えなんですけど、10万人集めたかったら、100万人集めるつもりでやらないとダメだと思うんです。東京ドームでやりたいと思ったら、その先も見ておかないとと考えています。

――高みを常に目指しているわけですね。今作「ポラリス」は海外に向けての作品というところもあるのでしょうか。

田邊駿一 『僕のヒーローアカデミア』はアメリカでは『My Hero Academia』となって放送されていて、世界での人気も凄いんです。それもあって海外の方たちも僕らの存在に気づいて頂いていると方々で聞いています。

 その中で先日驚いたことがあって、僕は4つ上の従姉妹がいるんですけど、アメリカの方と結婚して今テキサスに住んでいるんです。その従姉妹には2人、娘さんがいるんですけど、このまえTV電話をしていたら「ポラリス」を歌ってくれていて、旦那さんも「(アメリカの)周りの人達も聴いてくれてるよ」と教えてくれて。アメリカと僕らを繋ぐひとつのきっかけになった、アニメがきっかけとなって展開していけるんだろうなと感じています。ちょうど僕らの中で海外に挑戦したいと考えていたときに、こういったレスポンスがあるのは本当に嬉しいです。

(おわり)

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