BLUE ENCOUNT「世界で音楽を鳴らせるように」未来を見据えたバンドの姿勢
INTERVIEW

BLUE ENCOUNT「世界で音楽を鳴らせるように」未来を見据えたバンドの姿勢


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年11月25日

読了時間:約11分

出てきた答えが「守りたい」ということ

江口雄也

――今作「ポラリス」で新しいチャレンジはありましたか。

高村佳秀 結成から15年、ブルエンをやってきて、「俺らだったらこうするよね」という、僕らの正攻法みたいなものは持ってるんですけど、そこじゃないところを取り入れるために、前作「バッドパラドックス」から玉井健二さんにプロデューサーとして入って頂いて共作させていただきました。自分たちだけでは選ばない道へ引っ張ってくれて、それを模索して投影した感覚があります。

 単純に盛り上がるだけの曲にはしたくなかったというのがあります。それは、シリアスなところや耳を傾けたいセクションなど、胸に来る歌詞があったり。楽しかったというだけでは終わらないような、自分たちのフレーズ作りをしました。ドラムはサビまで普通の8ビートというのは出てこないんです。最初はシリアスで、サビで落ち着かせたいという意図がありました。

江口雄也 綺麗なだけなサウンドにならないようにしつつも、沢山の人に届けられる音楽、そして、これまでのブルエンが感じられるようなものにしたいなと思いました。それで、ギターがポイントになる場面があるだろうなと作りながら思うところがあったので、TVやYouTubeなどで聴いた時に、ギターが飛んで来るような、キャッチになるようなアレンジにしました。

――過去曲と比べると「ポラリス」は、激しさもありながらもドラマチックな一曲だなと思いました。どこか影もあるかのような、がむしゃらなだけではない大人になった“ブルエンサウンド”といいますか。

高村佳秀 玉井さんに、ブルエンはこういうことも出来るんだよ、と教えてもらった感覚はあります。自分たちで思っていたものよりも、もっと上があったんだなと。

――歌詞はタイアップ作品に寄せるというのも一つの正解だとは思うのですが、どのように歌詞を書いていこうと思いましたか。

田邊駿一 作品のストーリーに沿っている部分はもちろんありつつ、でも、ブルエンの事も歌っている歌詞になっていると思います。歌詞にある<あの日「守る」と決めた 約束はこの胸に>は仮歌の時点で既にあった言葉で、当初は書き換えることになるんだろうなと思っていたんですけど、最後まで残って。

――これまでは書き直す事の方が多かったんですか。

田邊駿一 最初に出てきた言葉が残ったことは、ほとんどないです。この歌詞は本能的に出てきた言葉で、一体何の約束をしたんだろうと考えた時に、メジャーデビューした1年目の時に「守るから」とファンの方に向けてよく言っていた言葉でした。この5年で色々あって、良い景色も見させてもらいましたし、叶った夢も沢山ありました。その反面、出来なかったことや悔しい思いをした事もありました。それもあって、「守る」という言葉を使えなくなってきている自分もいて...。

 その言葉を使ってもいい、値するバンドなのかなと。特に1、2年前はそのことを自問自答して、すごく悩んでいた時期でした。時にはバンドを辞めてしまいたいと思った事もありましたから。それを経て、出てきた答えがやっぱり「守りたい」ということでした。自分たちの音楽でみんなを守りたい、守れるという確信も出来たんです。

――それはなぜそう思えたんですか。

田邊駿一 誰かがやってくれるんじゃなく、自分たちでやっていけるなと思った時に、この主題歌のお話を頂いて、ホールツアー『BLUE ENCOUNT HALL TOUR 2019 apartment of SICK(S)』の真っ只中でした。ホールだとお客さんの顔がよく見えるんですけど、そこで曲を聴いて頷いていたり、涙している人を目の当たりにした時に、僕たちの音楽がその人たちにとって、意味になっているんだと感じたんです。その時に生まれた歌詞が「ポラリス」なんです。

――その時の景色が入っているんですね。なぜ「ポラリス」というタイトルに?

田邊駿一 常に沢山曲を作っているんですけど、この時期に作っていた曲の仮タイトルが「ポラリス」が多かったんです。

江口雄也 もう“ポラリス”だらけで(笑)。

田邊駿一 僕がふとつけたタイトルだったんですけど、“ポラリス”という言葉に合う、道標になってくれるような曲が沢山出来て。その中でも一番道標になってくれそうな曲が今作でした。

――他の“ポラリス”たちもいずれタイトルが変わって披露する予定も?

田邊駿一 あります。もう、タイトルも変わってますし、形にしている曲もあります。良い時期に良い言葉と曲が出来たなと思ってますし、バンドとしても力が入った曲になりました。僕らには熱血というイメージもあると思うんですけど、先程仰っていた影の部分というのは、挫折や後悔が熱血への原動力になっている部分でもあると思うんです。それがあるからみんなの気持ちもわかるといいますか。

――ブルエンは“光”をすごく訴えてきた言葉で、影と光は表裏一体ですから。未来に繋がる良い曲が出来上がりましたね。

辻村勇太

田邊駿一 ありがとうございます。でも、完成するまではみんなも「この曲がちゃんと主役になれるのかな」とか、どうなるのかわからないんです。

高村佳秀 もちろん良い曲だなというのは認識は出来ているんですけど、最後までわからないところはあります。

田邊駿一 歌録りギリギリまで歌詞を書いているので、終わるまでわからないんですけど、それも楽しみの一つではあるんです。可能性を秘めているところから曲を作っていって、ライブで披露して最終ジャッジをする。今もライブハウスツアー『BLUE ENCOUNT TOUR2019「B.E. with YOU」』で披露しているんですけど、それを感じているところで、これからどんどん育っていく感じもあり、育てていきたいと思える楽曲です。

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