ACIDMAN「耳の裏でも音を捉えている感じ」大木伸夫が考えるアナログの魅力
INTERVIEW

ACIDMAN・大木伸夫


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年11月19日

読了時間:約10分

時を超えた良いライブができたら

大木伸夫

――ちなみに大木さんのなかでこのアルバムで一番印象的な曲は?

 う〜ん難しいですね。このアルバムに関してはシングルを切ってないんですよ。プレデビューシングルといって「造花が笑う」「アレグロ」「赤橙」、最後にアルバムでメジャーデビューという戦略を当時のディレクターが組んでくれて。それはホップ、ステップ、ジャンプみたいな感じだったんですけど、そのシングル3枚が、だいたい20位、30位みたいな感じでした。それもあって僕らはアルバムで売れたという印象があるんです。

――20位でもすごいのですが「赤橙」はもっと売れたイメージがありました。

 「赤橙」は『COUNT DOWN TV(TBS系音楽番組)』でけっこう流れていたんですが、実は枚数的にはそんなにいっていないんです。そこからアルバムがドーンといったんですけど、その時でも最初は3万枚が目標でした。でも、蓋を開けたら最終的には15万枚ぐらい売れた。それは僕も含めて誰も想像できていなかったですかね。

 どこかの曲が秀でて、という感じではなくアルバムで売れたというのもあるし、僕らのバンドのイメージもあるのがちょうど良い名刺代わりの作品にはなったなと思って。「何かの曲で売れているバンドではない」という、「バンドとして売れている」というイメージはつけられたかなと思っています。

――スポーツで例えると絶対的なエースがいるのではなく、チームとして強いみたいな。

 そうそう。そういうアルバムでデビューできたので良かったなと思います。

――アルバムタイトルの『創』はどういう流れからつけられたのでしょうか?

 これはいくつかあるんですけど、創世紀の“創”というのはカッコつけた理由です(笑)。あと、これはたまたまなんですけど「佐藤(雅俊)、大木、浦山」で“s, o, u”と頭文字をつけるというのも、ちょっとした遊び心であります。それは「偶然、ラッキー!」みたいな感じですけど。でも、漢字一文字のタイトルにしたいというのは、最初から決めていて、何が良いかなと色んなワードを書き出していったのを覚えています。

――さて、当時苦労された曲はありましたか。

 産みの苦しみみたいなものは常にあったと思うんですけど、あまり覚えていないですね…。ただ、「香路」という曲は確か最後に作って、もう1曲入れたいなと思った時になかなかサビが出来なくて、苦労しました。

――最後に、『ACIDMAN LIVE TOUR “創、再現"』への意気込みをお聞きしたいです。

 この『創』の再現、そういうのができるというのは本当に奇跡だと思うし、さらに大きな所でライブをやらせてもらえるというのは凄くありがたいことです。来て頂ける人もその当時のことを思い出してもいいし、初めて来てくれる方は別に昔に戻らなくてもいいので、それがいまの僕らだと思ってくれていい。それぞれの楽しみかたで、時を超えた良いライブができたらなと思います。

(おわり)

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