BackGammon「さらけ出しやすい」戸田恵子×植木豪タッグが見せる新たな魅力
INTERVIEW

BackGammon「さらけ出しやすい」戸田恵子×植木豪タッグが見せる新たな魅力


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:19年10月27日

読了時間:約14分

感性を共有するチームが作り出す世界観

植木豪

――CDのアートワークは植木さんが手がけたのでしょうか?

植木豪 はい。僕のクルーというか、それこそ僕はダンサーなので、色んな時点で色んなもののピークがあって、そのとき出来る踊りってどんどん変わっていくんです。踊りってデジタルみたいなところがあったり、懐中時計みたいなところがあるんです。そのとき流行っているものはデジタル的に取り入れなきゃいけないけど、ずっと磨いて持っている懐中時計のような良いものもあるんです。それを続けていくという中で、チームがどんどん出来てきました。それを姉さんとやるときに、ぜひ最高のクリエーターチームでやりたいと思っていました。「わかっているので任せてください」という方達で作りました。

――楽曲のアイディアはどのように出したのでしょうか?

植木豪 まず姉さんから「こういう曲調で」とかアイディアを頂くんです。HIP HOPでノリが良いけど『Show Must Go On』というテーマなので、本当に板の上に立っている人達が発信できるメッセージだったり、そういったものを乗せてみようかとか、HIP HOPだけどちゃんと大人も聴けるちょっと切ないものだったりとか。そういう感じでパッとアイディアを頂いて形にする感じです。

戸田恵子 ブランドのほうもそうなんですけど、これまで積み重ねてきた結果みたいなところもあって、発注するときに「一番世の中でカッコ良い曲をお願いします」と言ったりします。「これは大海原に出て行く歌だから」とか、具体的にそういうことを言って作ってもらうという。ときには私が詞を書いて曲をお願いすることもあるんです。「雄大な川が流れるようなテイストの歌を作りたいんだ」とか、曖昧なことを言ったりもします。恋の歌ではなくて、もっと人生観があふれた、ちょっと頑張って行くみたいな、そういう歌を作りたいと言ってお願いしたりとか。そういう風にやってきました。「こういうものを作りたい」「こういうものをやりたい」と、やっぱり最初はいくら気が合うとはいえ、どのくらい右を向いているのか左を向いているのか、お互いに確認しながらやってきたんですけど、最近は何も確認しなくてもいけますから。

――お互いが深く理解し合っているのですね。

戸田恵子 そういうことがやってきた成果かなと。だから今回も全部任せて、世界観は豪のほうが強いので、私は言われたように乗っかっていこうと思っていたし、スタッフの方もみんなわかっているから早いですよね。それが当たり前のように過ぎて行くけど、それは凄いことなんだなって思います。

――先ほどの「大海原に出て行く歌」という表現も感性を共有されていないと難しいというか。

植木豪 そうなんです。その曲は結果的にエレクトロにして。“大海原”だけど、ただの海ではないなと。これは新しいドラマとして希望と音楽面で新しいものが入ったなかでのことだなと思って提出したら「こういうこと!」と。

戸田恵子 2時間ドラマの終わりにありそうなテイストがあるじゃないですか? 絶対そういうのではないようにしたいということで。しかも私が歌うからということだったから(笑)。

植木豪 だから、けっこうなエレクトロサウンドにして。ボカロとか作っているエンジニアの人に頼んで、ぶっ飛ばしたんです。全部そういう感じなんですよ。「helplessness」はめちゃくちゃマイナスな弱い気持ちの僕ら、でもここにはコーラスとビートが強くてエディットされまくっているものを入れたりと、だぶん戸田さんのイメージではないかもしれないんですけど、僕からしたらこれが「戸田恵子さんです」というイメージなんです。

――凄くサウンドに合っていると感じました。

戸田恵子 井手さんの力でもあるんですよね。

植木豪 このサビを姉さんが歌うということに関しても、僕が姉さんに「こういう感じです」と言ったら井手さんもすぐにわかって頂けたし、姉さんが歌って一発で井手さんが「これ来た!」と言ったんです。1曲目「Show Must Go On」は、ちゃんと舞台で立っている人が歌っていて、更にその言葉一つひとつを表現するときにちゃんとセリフのように歌えるワードが入っているんです。それは意外性だけではなく、今まで知っている人も「これ、戸田さんが歌っている」となるように僕は考えていまして。

 僕にしてもそうなんですけど、ダンスでずっとここまで生きてこられたという理由は、たぶん何かがあると思うんです。姉さんのことを日本中の人が知っているということも自分達の武器として残しつつ、本当にやりたいアートをやるという、この良いさじ加減は長い間話していないと作れないと思って。だから「がむしゃらにただ好き」ではなく、凄く話をして計算した上でちゃんとやっていくのも大事だと僕は思っています。

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