各メンバーの“こだわりポイント”
――今作収録曲で、各々のこだわりポイントは?
SHUKI 実はドラマーとして進化できた曲がありまして。「UP TO U」は打ち込みなんですけど、自分のなかで大きなチャレンジがあったんです。2番までと、それ以降ではドラムの考え方が真逆になっているんです。
――リズム面で、ということでしょうか?
SHUKI アクセントの位置が逆になっているんです。リズムの取り方が最初は頭拍の「1、3」で、2番以降は裏拍の「2、4」になっているんです。ドラマーでもこれをやる勇気がある人はいないんじゃないかというくらい。僕もやったことなかったです。でも曲に対して突き詰めて考えて、気付いたらそれをやっていて。これがこんなに上手くハマるとは思いませんでした。
――職人のこだわりですね…。
SHUKI 誰も気付かないと思うんですけど、ライブ中にそこが切り替わる瞬間は勝手にテンション上がってます(笑)。それがあるとないのとでは曲を通して聴いたときの印象が違うんです。実際にお客さんが気付く必要はないんですけど、「無意識で全然違う」という点は他の曲でもけっこうできたかなと思います。
――気付いた人がいたら凄いですよね。
KENJI そんな女子がいたらちょっと気になります(笑)。
YU その人はもうミュージシャンをやったほうがいいよ(笑)。
――YUさんのこだわりポイントは?
YU 今回は日本語の歌詞で成立している曲があるんです。7曲目の「AITAI」は全部日本語で、タイトルもアルファベット表記の日本語になっています。「CALL ME」も9割くらいが日本語のバラードなんです。作詞の考え方がいままでの僕らとは全然違う、逆説的な失恋ソングになっているんです。ずっと強がっている男心がAメロで入っていて、サビで本音を言うという。最初<心配なんかはしないでくれ>というのが書いてあって、サビで本音が出て、最後にまたAメロに戻ってくるんです。そこで、冒頭と逆の目線になっているんです。最後は<心配なんかはしていないよ>と。そういう風にまわってくるのが、自分的には上手く書けたなと思っています。「CALL ME」の歌詞は気に入ってます。
KENJI 僕がこだわったのは「ZERO GRAVITY」で、ベースの音の長さです。音をどこまで伸ばして、どこまでで切って、どこを空白にするかでグルーヴって生まれてくるんです。それをセクション毎に同じグルーヴでいくのがベーシックなんですけど、あらゆるセクションで音の長さを凄く細かく調整という、初めてトライした点です。
――グルーヴを細かく調整したのですね。
KENJI 聴き手は気付かないかもしれませんが、それをやっていくことで、1曲のなかにあるグルーヴがありつつ、細かく変化して飽きがこないというのをどうしたら面白くできるかと凄く考えながら…ドラムを録っているなかで考えたり弾いたりして詰めていって、「このグルーヴでいこう」というのを細かく決めていったのはこの曲が初めてかもしれません。SHUKIに対して、どう絡んでいったら面白いかというのを深く考えながら。そういった点で「ZERO GRAVITY」は一番こだわったかもしれません。マスタリングしたときの音が洗練されたというのは、そういう点に気を配ったからかなと思います。
――サウンドの心地良さの正体にはそのこだわりがあったのですね。CHOJIさんはどうでしょう?
CHOJI 僕はまず「TRY FOR YOU」です。いままで渋いギターソロというのは弾いてたんですけど、泣きのソロというのはやれてなかったので、それをちゃんとできたなと。サビで弾いている気だるいようなギターフレーズがあるんですけど、それもこの曲に合って良かったなと。「CALL ME」はエレキとアコギとガットギターと、色々入っているんです。アコギで6弦から1弦までコードを弾くと、1弦まで弾いて高い音が残るんですけど、あえて1番は2弦までで止めて、ということをやっていました。1番はそういう風にやって、物足りなさを出すというか。エレキよりもアコギのほうが繊細で生々しいので、そういう表現をしてもちゃんと伝わるかなと思いまして。
――メンバーそれぞれの細かなこだわりが隅々にあってこその大作なのですね。それでは最後に、9月からの全国ツアーへの意気込みはいかがでしょうか?
YU このツアーは『“F U T U R E TOUR』になるんですけど、これだけ僕らがライブを想定してアルバムを作ったのも初めてで、そういう曲たちがドバっとツアーに入ってくると思います。このあいだのリリースツアーでも試しにやってみて、その感触もかなり良かったので、今までのツアー以上に良いツアーができるという自信があります。
(おわり)