ダイアモンド☆ユカイにとって「ロック」とは、キャリアを経て気づいた自身の声
INTERVIEW

ダイアモンド☆ユカイにとって「ロック」とは、キャリアを経て気づいた自身の声


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年07月25日

読了時間:約13分

内田裕也とのエピソード

ダイアモンド☆ユカイ

――今作には新たにカバーされた曲が3曲収録されていますが、内田裕也さんの「きめてやる今夜」が選ばれたのも当時密かに「いいな」と思っていた曲ですか。

 俺達は裕也さんを個人的には避けて来たんだよね。当時、活きのいいロックバンドは裕也さんを通るという時代があって、俺らのところにもどこからか「裕也さんが会いたがってるよ」という声が聞こえて来て。裕也さんはタイガースやジョー山中さんのフラワー・トラベリン・バンドを発掘した人で、最終的にはミッキー・カーチスさんがプロデュースしたんだけど、実は矢沢(永吉)さんのCAROLにも目をつけていた人なんだよ。それもあってロックバンドは裕也さんを通らないとロックとして認めてもらえない感じでさ。でも、俺らはそれが嫌で(笑)。うちの両親は2人とも公務員で、自分は昔野球少年だったけど、上からものを言われたり縛られるのに嫌気がさしていたんだ。

――縦社会のようなものが、ですか?

 そう(笑)。だから、裕也さんを避けてきた(笑)。

――当時お会いしたことはあったんですか?

 会ったよ。かつてアメリカの映画『TOKYO POP』に俺が主演した時に、監督がユダヤ人の女性で旦那さんが日本人という夫婦で、おそらく旦那さんが裕也さんと仲良かったんじゃないかと思うんだけど、その映画に裕也さんがお父さん役で出演するって話があって。結局裕也さんは出なかったけど、俺らがアメリカのヒルトンホテルで撮影の為に2カ月いたときにレストランで裕也さんに出くわして、その夫妻が紹介してくれたんだけど、裕也さん、俺の顔見てバツが悪そうな顔してるんだよ(笑)。でも最後に「頑張ってね」と、声を掛けてもらったのが最初だったと思う。

 あともう一回会ってるんだけど、自分はロックを信じていて、向こう見ずで怖いものなんてなかったんだよね。それで和田アキ子さんの番組に出演した時にめちゃくちゃにしてしまったことがあって…。アッコさんが困ってしまったんだよね。その後に何故だか裕也さんが事務所にバットを持ってやってきてさ。

――えっ!

 でも、事務所の社長もロックな人だから、裕也さんに「ロックってそういうものじゃないのか」と話したみたいなんだけど、裕也さんも「そりゃそうだな。」と納得して帰ったみたいでさ。それを聞いた時に愉快な人だなと思ったね。本当に生き様すべてがロック界のエンターテイナーだったと思う。どこまでが本当で嘘なのかもわからないし、樹木希林さんも含めて不思議な人だったなと。最後の葬式に参列した時に、人生のエンターテイナーだったんだな実感した。その時に「きめてやる今夜」が流れてきて、これってイカしてる曲だなと思ったんだ。

――それでこの曲を歌いたいと思ったんですね。

 そう。沢田研二さんが裕也さんのために作詞・作曲した曲で、よく裕也さんと沢田さんがデュエットしていてさ。今回のアルバムに全曲収録する曲は決まっていたんだけど、この曲が歌いたくなって、急遽収録させてくれって言って(笑)。急だったけど沢田さんからもカバーすることの許可も得られてね。

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