SHE IS SUMMER「根底にあるシンプルな気持ち」MICOが音楽で表現する核心
INTERVIEW

SHE IS SUMMER「根底にあるシンプルな気持ち」MICOが音楽で表現する核心


記者:榑林史章

撮影:

掲載:19年05月17日

読了時間:約10分

ファインダー越しのような目線で

SHE IS SUMMER

――「CALL ME IN YOUR SUMMER」のMVは、YouTubeで160万回以上の再生数を記録しています。SHE IS SUMMERの音楽のどういう部分が、海外の方にウケていると思いますか?

 自分では分からないんですよね(笑)。でも片寄さんと仲の良いロサンゼルスのDJの方が、片寄さんが作った曲であることを知らずに「CALL ME IN YOUR SUMMER」をかけてくださったことがあって。あと、韓国のアイドルグループのプロデューサーが、ブログに「CALL ME IN YOUR SUMMER」のことを書いてくださって、そういうところから広がったみたいですね。

 周りの方が言うには、海外では今、少しソウルフルでメロウな曲を、日本語のウィスパーで歌っているものが人気のようで、たまたまそこにヒットしたんじゃないか、とのことでした。私としては、それを狙ったわけではなくて、その時に作りたいものを作っていただけだったんですけどね。

――また、「海岸2号線」という曲は、80年代のシンガーソングライター系のメロディやムードが秀逸ですね。編曲に参加している伊藤翔磨さんは、昨年の大ヒット映画『カメラを止めるな!』の主題歌やメインテーマを作った方です。

 もともと「海岸2号線」は、去年の東京キネマ倶楽部でのライブで演奏するために作った曲で、ライブのメンバーでアレンジをしようというアイデアから生まれました。伊藤翔磨さんは私のサポートバンドのギターで、共に編曲してくださった及川創介さんはキーボードで、バンマス(バンドマスター)です。ライブではかなりバラード寄りだったんですけど、今回はBPMが少し速くなっているので、ノリやすいと思いますね。

――「海岸2号線」というタイトルの意味は?

 去年、初めて熱海に行ったんです。熱海自体が情緒のある雰囲気なんですけど、その日の天気がどしゃぶりだったこともあって、まるでドラマや映画の中に入り込んでしまったような気持ちになって。それで、なんだか架空の街にいるような感覚だったので、私が走った道路に「海岸2号線」という名前をつけて、そんな架空の街にいるカップルの会話みたいなものを歌詞にしました。

――熱海には、昭和っぽいものがまだたくさん残っていますよね。

 私は80年代をリアルタイムで過ごしていないから、逆に新鮮に感じる部分がたくさんあって。今、80年代がいろんなところでリバイバルしているけど、熱海の街からはリバイバルで作られたものとはまったく違った、リアルな80年代の感覚が伝わってきて、すごく格好いい街に見えました。

――台湾と熱海って、ちょっと似た空気感があるかも。

 ああ、分かるかもしれないです。上手く言えないけど、土地の持っている湿度とか、情緒が似ているんでしょうか。「CALL ME IN YOUR SUMMER」のMVも、そういった湿度があるものが撮りたくて韓国で撮影したので、そういう部分も今作と通じているところがあると思います。

――でもどうして熱海に?

 温泉が大好きなんですけど、箱根は日帰りでよく行っているので、たまには熱海に行こうかなって。熱海秘宝館も見たかったし(笑)。

――また「TRAVEL FOR LIFE」という曲もあって、熱海もそうですけど旅が好きなんですね。去年も奇怪遺産を見にタイに行っていましたね。

 旅はここ3年くらい行っているだけで、奇怪遺産好きは1年くらい前からなので、それほど深くはないですが、好きですね。

――どの歌詞も、そういう旅のひとコマを切り取ったような感覚もあると思いました。フィルムの写真とか、8ミリフィルムで映画を撮っているような感覚があるなと。

 確かにそうですね。ファインダー越しのような目線で、見ていることが多いです。今現実に起こっていることを、そのまま受け止めて見るのではなく、一歩引いた目線で見ている感じです。

――そういう視点が、曲調とも相まって独特の世界感を生み出しているんでしょうね。ジャケットのデザインも可愛くて面白いです。

 「れもんらいふ」というデザイン会社の永瀬由衣さん、私はゆいゆいと呼んでいるんですけど、彼女がアートディレクターとして1st E.P.『LOVELY FRUSTRATION E.P.』からずっと手がけてくれていて。写真で手に持っているのがミラクル・フードで、よく見るといろんな種類があるんですけど、ゆいゆいが頑張って夜なべをして作ってくれました(笑)。

――アイデアの大元はMICOさんから?

 コラージュ作品にしたいというアイデアは、私が出しました。それに台湾のアーティストともコラボしているから、台湾映画のような混沌とした感じや熱気が、感じられたらいいなと思って。それと、少しくすんだ色味が好きなので、それらの空気感を合わせ持った感じにしたいと。あとは私自身が、同じ模様が繰り返されているテキスタイルが好きなので、テキスタイルっぽいコラージュにしたいかもって、雑談っぽく話をして。そういうアイデアを元に、ゆいゆいが作ってくれたストーリーがあって、そのストーリーは、ジャケットの中面を見れば分かるようになっています。ちょっとしたお遊びですけど、気になる方はぜひCDを手に取っていただけたら嬉しいです。

――3rd ANNIVERSARYワンマンライブも開催されます。『MIRACLE FOOD』にかけて『FOOD COURT』というタイトルになっていますね。

 心が満腹になって帰ってもらえたら嬉しいです!

(おわり)

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