聴く人によって違うのが理想の音楽
――もともと人見知りだったということは、初ライブは緊張しましたよね。
めちゃめちゃ緊張しました。初ライブは小学6年生の最後に、母の知り合いがいるお店で、素人でもステージに立てるオープンマイクという企画ライブでした。お客さんも5~6人のグループがいただけでしたけど、知らない人たちの前で歌うのはすごく緊張しました。反応が悪かったらどうしよう~とか、悪いことばかり考えてしまったのですが、歌ったら「上手い」とか「上手だね」と言ってもらえて。足がガクガクで震えが止まらなかったんですけど、身内以外に認めてもらえた嬉しさや、自分の好きな音楽を通して自己表現できた歓びのほうが大きかった。
――そのときのことは、ずっと忘れないですね。
あの時の嬉しさは今も覚えていますし、あの足の震えも一生忘れないと思います(笑)。それをきっかけに、音楽を通して話しかけてくれる子が増えて友だちになったりとか、対バン相手の方にあいさつをすることで、初めての方ともしっかり挨拶とかお話とかできるようになっていって。今行っている高校も自分の実際の偏差値レベルよりも高めの学校なんですけど、高校でも音楽がやりたくて軽音学部がある高校に行きたかったから、すごく頑張って受験勉強に取り組んだんです。それをやるためなら頑張れるという心の支えとしても、音楽は自分のなかで大事なものになっています。
――これから先、壁にぶち当たったとしても、音楽を続けるためならと思えば乗り越えられるでしょうね。
そうだと思います。私は理由がないと頑張れないし、それが自分にとって楽しいことじゃないといけないし。その為なら何でもできると思うのが音楽です。人見知り克服など自分の内面的にも、人間関係の構築とか対外的な部分においても、自分の人生で音楽はとても大事なものになっています。
――夢だったアーティストになった今、新たに持っている夢や目標はありますか?
より大きな会場でライブができれば嬉しいし、お客さんが増えて欲しいのはもちろんです。漠然としていますが、自分の音楽を聴いて「いいな」と思ってくださる方、自分の表現を受け止めてくださる方が、一人でも多く増えればいいなと思います。自分も楽しみながら音楽をやっていければいいなと思うし、自分が表現したいことを思い切り表現できるようになっていったらいいなって。
――どの曲もシンプルで普遍性があると思いましたが、どういう音楽をやっていきたいですか?
自分が思い浮かべている情景と、聴いた方が想像する情景は同じじゃないほうがたぶん良くて。聴く人によって様々に想像してもらえるものが、理想の音楽だと思っています。受け取り方で違うものになるほうが、より多くの人が共感してくださることに繋がる。自分は今までもこれからも、そういう音楽を目指して、尚且つお客さんに少しでも「いいな」と思ってもらえる曲を作っていきたいです。ちょっと元気になるとか、ちょっとほっこりするとか、そういう素朴なものでいいので、聴いていただく人の支えになっていけたらいいですね。温かい気持ちになってもらえる曲を作っていきたいです。
――ちなみに琴音というお名前は本名ですか? 人の琴線に触れる声という意味に受け取れるし、ギターを弾きながら歌うスタイルともぴったりですね。
本名です。ただ、私が生まれたのは1月7日のちょうどお正月時期で、「お正月と言ったら琴の音色だよね」ということで付けたらしいです(笑)。でもおっしゃっていただいたように、名前の通りの自分になっているのは不思議なものですね。大好きな名前なので、この名前も大切にしながら活動していきたいです。
(おわり)