生活をそのまま歌う、SHE IS SUMMER 音楽は本当の自分への過程
INTERVIEW

生活をそのまま歌う、SHE IS SUMMER 音楽は本当の自分への過程


記者:榑林史章

撮影:

掲載:18年08月05日

読了時間:約13分

本当の自分にどんどん近づいていく

『hair salon』初回盤

――また、「エンドロールの先を歩く」は、ホーンが入って渋谷系っぽいポップなサウンドや、サビのメロディがすごくキュンときていいですね。後半に出てくる語りもすごく合っているし。

 ありがとうございます。友人各位から、絶賛されている曲です(笑)。語りは、ラップもそうだけど、前からやってみたいと思ってしたためていたネタの一つで、ついにできました!

――映画が終わってエンドロールが流れても、登場人物たちの物語はその先も続いている。人生とか、その先を想像することのワクワクを感じさせる曲だなと思いました。

 人生の中で、ここが結末だと思う日があって。それまでの出来事がすべて報われたような1日。こんな気持ちになれる日があるなら、今まで生きてきて良かった、と。それは誰かから一言、感謝の気持ちを述べられた日なのかもしれない。そういう日ってあるなと思って。自分のここまでの人生がここで報われたんだ! と、ただ気持ちを噛みしめる日があってもいいなと思って書いた歌詞です。

――「生活」は、軽快なリズムのナンバーで、すごく日常的な歌詞ですね。

 これは、私の生活をそのまま歌った曲です。自分が思っていなくても、私の生活が、自然にSHE IS SUMMERの音楽には反映されていて。だからSHE IS SUMMERの音楽が良くなっていくためには、私の生活を良くすることが重要なのかなって。30分のライブを良くするためには、そのライブを良くしようとするだけでは良くならなくて、普段食べているものや普段の姿勢までも、全部が反映されると思うんです。

――MICOさんの「生活」が、SHE IS SUMMERを作る素材になっていると。

 私の些細な一言でも、活動に反映されている。逆を言うと、私は普段から生活感のない生活をしていると、言えるのかもしれないです。音楽活動と生活が、わりと近いところにあるので。

――音楽になるような生活だから、一般のリスナーから観ればドラマチックな生活なのかもしれないですよね。憧れの“東京での生活”と言うか。

 ルームシェアをしていたし、いつまでも友だちと遊んでいるような生活をしているから、そうかもしれないですね。何を持って生活感と呼ぶのかはわからないけど、みんなが言う生活感がなくてもいいのかなって。自分が好きなものがあるなら、それ自体を生活に組み込みたいですよね。友だちが好きなら友だちと住みたいし、そうやって自由に生活をしたいです。

 私は兵庫県の田舎の出身で、周りは田んぼばっかりで。でも生まれた時点では、自分では何も選んでいないから、まだ本物の自分ではなくて。それで、自分の好きなものを見つけて、それに向かって歩き始めて、やっと本当の自分になれたのかなって。私はこういう生活が好きで、それが自分らしくいられる秘訣なのかなって。そういう意味では、本当の自分にどんどん近づいていく作業をしているみたいな感じかもしれないです。

――最後に、女性シンガーソングライターのコレサワさんが作曲した「女の子の告白」を収録しています。コレサワさんとは仲良しなんですか?

 ルームシェアをしていた友だちが、コレサワちゃんと仲良しで、その繋がりで私も仲良くさせてもらっています。この曲は、去年ファンの女の子たちから恋愛相談の手紙をたくさんもらって、何か別の形で返事ができないかなと思って書いた歌詞です。それで、手紙をくれた多くの子が、好きなアーティストとしてSHE IS SUMMER以外にコレサワちゃんの名前を挙げていて。じゃあせっかくだから、曲はコレサワちゃんにお願いしたいなと思って。

――ファンの手紙を読んで、どんな風に思ったんですか?

 読んで思ったのは…最近の女の子は自立していて、お仕事もできるし友だちとも仲良くして、自分のやりたいことがやれている子が増えている感じがあって。でも、こと恋愛に対しては、なぜか急にできなくなる人が多いなって感じて。好きな人も一人の大切な人で、それは親や友人を大切な人と思うのと同じなのに、“好き”という気持ちが弊害になって、本当は大切にしたいのに、曲がった方向に行ってしまうのが残念だなって。だから好きとか付き合うとか以前に、ただ大切な人として考えれば上手くいくことがたくさんあるんじゃないかなって。手紙を読んでそれを感じたので、そのまま歌詞に書きました。

――恋をしている女の子に勇気を与えられたらいいですね。

 恋愛をしていると、真っ直ぐにしかものが見えなくなっちゃうから、ちょっと視点をそらすだけで、見える景色が見違えるほど変わることもあるので、そういうきっかけの言葉になるような歌になったらいいなと思いました。

――歌い方は、前半のふわっとした雰囲気の歌い方と比べて、けっこう情感たっぷりで歌っているなと思いました。 

 それは女の子の気持ちを代弁したい気持ちがあったので、自然と気持ちが入ったからだと思います。アレンジでも、そういうお茶目さやコミカルさを入れるように意識したので、そういう部分も聴いて欲しいです!

――SHE IS SUMMERという名前についてですが、こういう名前だとやっぱり夏を意識しますか?

 結局せざるを得なくなっていますね(笑)。もともとは『500日のサマー』という映画のヒロインの名前から取ったんですけど、どうしても引っ張られる部分があって。私も夏のいろんな表情が好きだし、結果的に、今回みたいに夏のリリースも多いですし。それで今作では、初めて夏の歌をたくさん作って収録した感じです。今までの曲では「君のせい」が、少しだけ夏を感じさせる歌だったけど、SUMMERと曲名に入っている曲を作ったのは初めてのことですし。SHE IS SUMMERにして、初めてSUMMERと向き合って作った感じです!

――そんなSHE IS SUMMERの、今年の夏は?

 去年から、奇怪遺産を巡る旅をしていて(笑)。去年は、台湾の金剛宮に行きました。で、今年は早めの夏休みをいただいて、タイのスイ・ティエン公園に行ってきました! 今後もいろいろなところに行こうと思っています。

(おわり)

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